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水槽試験技術グループ


 
[水槽試験技術グループとは]

 このグループは、推進性能の良い船の形(船の水に浸かっている部分、造船工学用語で「船型」という)やプロパルサ(船を押し動かす推進器)を開発する上で重要な役割をなす水槽での性能評価実験および、これにまつわる計測技術の開発をおこなっています。船型には船体のみならず、舵やキール、フィンなどが含まれます。
 当技術グループのメンバーは、星野邦弘(グループ長)、後藤英信、池本義範、下田春人、牧野雅彦、藤沢純一、若生大輔、濱田達也、大場弘樹、澤田祐樹です。


グループ問い合わせ先:hasegawa@nmri.go.jp




[主な研究テーマ]

 昨年度は「導電性塗料を用いた船側波形計測法の開発」を行い、 日本船舶海洋工学会およびMTS/IEEE Oceans2012にて、講演発表を行いました。  

今年度は、10モード水槽試験の実施や、各種の民間請負研究、科学研究費補助金による基盤研究を行っています。
水槽の近代化とともに水槽試験法の精度向上、効率化並びに精度管理に関する研究を行っています。
NFD(数値流体力学、CFDを含む)とEFD(実験流体力学)の知見を利用して開発された新しい船型とプロパルサの性能評価の研究を行っています。
船などの各種運動体の抵抗・推進性能に関する科学的評価の研究を行っています。
CFDなどのNFDプログラム・コードの精度評価のための検証データ創出の研究を行っています。


[推進性能とは

 推進性能とは、船が進もうとすると主に水(海水)から抵抗を受けますが、これにうち勝って船を推進させるための力の大小を言い、これ が同じ大きさの船、速力または仕事(積荷)などに対して、小さい船を推進性能が良いと言います。
 従来、船は波、潮流、風のない状態(平水中)で推進性能の良い船を開発していましたが、最近は波浪中で抵抗の少ない船や馬力または燃料消費量の少ない船 の船型について研究を行っています。更には、推進性能ばかりでなく、運航コストや船価などまで含めた総合性能で評価する様になっており、船型開発の時に考 慮することが必要となってきています。



[プロパルサとは

 船体を航走させるためには、推進装置が必要であり、よく知られているものとしてスクリュー・プロペラ(通常、プロペラと呼ばれることが多い)があり、こ の他に外輪プロペラ、帆などがあります。
プロペラも幾つかの種類があり、よく目にする通常型プロペラの他、可変ピッチプロペラ、ダクトプロペラ、二重反転プロペラの他、現在話題となっているポッ テッド・プロペラがあり、それぞれの長所や特徴があるので、これらを考慮して用いられます。


[キャビテーションとは

 船を動かすプロペラは効率良く推力(スラスト)を出すため、プロペラ翼の背面(前進面)側の圧力は真空近くまで低くなります。この様な低い圧力の所で は、常温(15℃)でも沸騰し、泡の固まりができ、この現象はキャビテーションと呼ばれます。キャビテーションが発生すると、つぶれる時に高い圧力が発生 するので、プロペラや舵を損傷します。また、ノイズを発生するので潜水艦や音響ソナーをもつ船では問題となります。一番問題となるのは船尾振動で居住性、 安全性の観点から商船では最も重視されており、この予測技術の向上が最も期待されています


推進性能の評価とこれを可能にする水槽

 船型の推進性能は今でも平水中で行うのが基本となっており、このため曳航水槽という非常に大きなプールで模型船を引っぱって性能を計 測することで実船の性能を評価します。この模型試験による手法は100年以上前に開発され、今日までデータの蓄積と試験法の改良がなされてきています。当 研究所には2本の曳航水槽があります。一つは三鷹第2船舶試験水槽(通称、大水槽、400m水槽)であり、長さ400m、幅18m、深さ8mで世界有数の 大きさを誇っています。もう一つは、三鷹第3船舶試験水槽(通称、中水槽)であり、長さ150m、幅7.5m、深さ3.5mで、水深を変化させることがで きます。また、両者は種々の波を発生させることが出来ます。実海域を想定した波浪中性能の研究も行っています。この他に、プロパルサを中心に推進性能を評 価するため、大型キャビテーション(空洞)水槽があります。曳航水槽と異なり、水が水槽内を循環する回流水槽であり、キャビテーションを発生させることが できる様に真空近くまで水槽内を減圧できます。長手方向16m、高さ10mの日本最大のキャビテーション(回流)水槽です。詳細は施設のページを御覧ください。



試験水槽の近代化造波装置

 このうち、400m水槽は平成13年~14年度にかけて、改修工事を行い、建設後38年も経て老朽化した水槽は時代の変化と要請に対 応した新しい水槽に生まれ変わりました。本研究グループが中心となって改修工事に対応した業務を行いました。

 工事の内容は
* 曳引車の速度制御装置の近代化(制御性能、安全性及び実用試験速度の向上)
* 造波装置の近代化(フラップ型からプランジャ型へ)



[水槽試験法の開発]

 このグループは船型開発の基本となる船の抵抗と推進性能を精度良く計測する水槽試験法の開発や精度向上、並びに効率化に取り組んでい ます。この試験法に関しては、国際試験水槽会議(International Towing Tank Conference)というNGOの団体が世界で最も進んだ合理的試験手法について技術委員会を設置して調査・検討・議論・推奨をする活動を行ってお り、当研究所もこのメンバーの一員として参加するとともに、会議の運営をする評議会(Advisory Council)に参画し、技術委員を各期(現在第2期、1期3年)数名参加させ、国際協力と貢献をしております。
 抵抗・推進性能の優れた船型開発にも取り組んでおり、現在話題となっているポッド型プロパルサを装備した船型開発とポッド型プロパルサを装着した船の推 進性能の計測法の開発に取り組んでおり、国土交通省からの受託研究「次世代内航船の研究開発」プロジェク トにおいて新しい試験法を開発指導する縁の下の力持ちとしての貢献をしています。

模型製作 水槽試験
模型船寸法比較抵抗試験結果

模型船製作&寸法検査 KCS 模型船の水槽試験


[船型開発]

 従来の船型開発は過去の試験結果を集積したデータベースや造波抵抗理論やプロペラ理論などに基づき、経験工学的に何隻も模型船を製作し、シリーズ試験等 のなかで良い船型を見つける手法がとられてきましたが、現在は大型高速コンピュータの発達に対応した数値計算法(CFDを含むNFD)が数多く開発された ことを受けて、水槽試験の前にNFDで最適船型を見い出し、CFDなどの信頼性が十分に確立していないので最終的に水槽試験で確認する手法がとられるよう になってきています。このため、本グループではCFD計算プログラムの信頼性を確認するための検証データを提供するため、不確かさ解析を行うための繰り返 し試験を行うとともに、得られた検証データを世界に発信しています。
 これらの取り組みを通して、新しい概念の推進性能の優れた船型の提案をしていく予定です。

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