海技研報告概要


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平成16年度第4巻第4号
タイトル 電磁超音波共鳴法による鋼材疲労評価の研究
著者 吉井 徳治、島田 道男、成瀬 健
概要

船舶や海洋構造物の事故防止に役立てるため、疲労亀裂が発生する以前における鋼材の疲労劣化を評価するための研究を実施しました。船舶などの巨大構造物の亀裂探査は容易な仕事ではなく、これを改善するためX線や電磁場、超音波などにより鋼材の疲労度を評価する研究が行われましたが、計測に高度な技術を必要とするため現在実用化していません。近年、電磁的に超音波の送受信を行う、電磁超音波共鳴計測システムが実用化し、高精度な超音波計測器として利用可能になりました。そこで、疲労試験中に同システムで音速と減衰、音響異方性に関するデータを収集し、鋼材の疲労劣化との関連を検討しました。
 疲労に伴う音速及び減衰変化の測定には、SM400B鋼試験片を用い、音響異方性変化の測定にはS35C鋼を用いました。疲労試験は、応力比R=-1の引張圧縮荷重で行い、試験片中央部の応力−ひずみ線図に現れる塑性ひずみ幅を疲労劣化の指針としました。
 疲労が進み塑性ひずみ幅が増大すると、同時に音速の低下が認められ、疲労荷重が大きいほど音速低下が大きいことが分かりました。また、疲労荷重が大きい場合には、共鳴スペクトルの乱れが大きくなり、測定が次第に困難になる傾向がありました。減衰については、疲労荷重の大小と超音波の周波数によりパターン分けしました。音響異方性は、塑性ひずみ幅に対応した変化を示しました。全体的傾向として、疲労荷重が大きな時には塑性ひずみ幅増大に伴い、電磁超音波計測が困難化(SN比低下、共鳴スペクトルの乱れ)する傾向があり、この点についてはそのメカニズムを解明するための追加の実験的検討が必要と思われました。
 また、電磁超音波計測で精度を確保するために行った試験片寸法効果、温度効果、応力効果等についても実験データに基づき説明を加えると共に、試験片表面に現れるすべり線観察結果と電磁超音波計測結果の関連についても簡単な考察を加えました。



平成16年度第4巻第4号
タイトル FRP廃船のセメント焼成によるリサイクル技術に関する研究
著者

秋山 林 愼也、松岡 一祥、勝又 健一、成瀬 櫻井 昭男、吉田紘二郎、山根 健次、古谷 典〒、山内 信彦、仲西 修司

概要

FRP船が実用化してから約45年以上経過し、初期に建造されたFRP船の廃船が発生している。FRP船の耐用年数は、30〜50年と考えられており、建造隻数から単純に推定した廃船数は、年間1万隻に及ぶ。FRP船に用いられているFRP材は、ガラス繊維で強化されているので解体が難しく、処理経費がかさむため、海洋、港湾、及び河川等への放置や不法投棄が多発し、沈廃船化等の社会的な問題になっている。
 FRP船は、不燃性のガラス繊維が層状に入っており、その分離が困難であることや、既存の廃棄物処理ルート(埋め立て、焼却、再利用)に乗せるためには、運搬及び処理可能な大きさに前処理しなければならない等、一般のプラスチック以上に処理が困難である。一般的に、FRP廃船の解体方法と解体後のFRP廃材の処理方法は、機械的切断あるいは破砕により小さくした後、焼却あるいは埋め立てを行う方法である。各手法は、それぞれ長所・短所があり、切断能力、安全性、作業性、及び経済性の全てを満足していないのが現状である。また、現在、廃棄物の70%以上が焼却処分され、焼却灰を埋め立てて最終処分するなどの埋め立て処分量を減らす努力がなされているが、埋め立て処分場の枯渇が大きな問題になっている。関係官庁においても、昭和48年頃から法律の改正や委員会での検討を行ってきたが、経費の問題やリサイクルの困難さを解決できず、FRP船の処理の実用化には至らなかった。
 そのため、本研究は、国土交通省海事局舶用工業課の委託を受けて、平成12年度から15年度まで、「FRP廃船高度リサイクルシステム構築」をテーマとして調査研究を実施した。本研究では、FRP廃船の収集、運搬、解体、中間処理のプロセスを経て、最終的に、FRP破砕片をセメントの原燃料として利用するセメント焼成リサイクルシステムを構築した。また、セメント焼成可能な製品を製造するため、中間処理でFRPと廃油の混合物を製造するリサイクルプラントを開発した。



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