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船舶や海洋構造物の事故防止に役立てるため、疲労亀裂が発生する以前における鋼材の疲労劣化を評価するための研究を実施しました。船舶などの巨大構造物の亀裂探査は容易な仕事ではなく、これを改善するためX線や電磁場、超音波などにより鋼材の疲労度を評価する研究が行われましたが、計測に高度な技術を必要とするため現在実用化していません。近年、電磁的に超音波の送受信を行う、電磁超音波共鳴計測システムが実用化し、高精度な超音波計測器として利用可能になりました。そこで、疲労試験中に同システムで音速と減衰、音響異方性に関するデータを収集し、鋼材の疲労劣化との関連を検討しました。
疲労に伴う音速及び減衰変化の測定には、SM400B鋼試験片を用い、音響異方性変化の測定にはS35C鋼を用いました。疲労試験は、応力比R=-1の引張圧縮荷重で行い、試験片中央部の応力−ひずみ線図に現れる塑性ひずみ幅を疲労劣化の指針としました。
疲労が進み塑性ひずみ幅が増大すると、同時に音速の低下が認められ、疲労荷重が大きいほど音速低下が大きいことが分かりました。また、疲労荷重が大きい場合には、共鳴スペクトルの乱れが大きくなり、測定が次第に困難になる傾向がありました。減衰については、疲労荷重の大小と超音波の周波数によりパターン分けしました。音響異方性は、塑性ひずみ幅に対応した変化を示しました。全体的傾向として、疲労荷重が大きな時には塑性ひずみ幅増大に伴い、電磁超音波計測が困難化(SN比低下、共鳴スペクトルの乱れ)する傾向があり、この点についてはそのメカニズムを解明するための追加の実験的検討が必要と思われました。
また、電磁超音波計測で精度を確保するために行った試験片寸法効果、温度効果、応力効果等についても実験データに基づき説明を加えると共に、試験片表面に現れるすべり線観察結果と電磁超音波計測結果の関連についても簡単な考察を加えました。
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