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平成30年9月11日

世界初!独自開発「縦曲げ・ねじり弾性相似模型船」による公開実験を実施

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所(うみそら研:大和裕幸理事長)海上技術安全研究所(宇都正太郎所長)は、8月16日(水)に、東京都三鷹市の本部にある実海域再現水槽で、世界初となる縦曲げ・ねじり弾性相似模型船の水槽試験を実施し、業界関係者およびメディア向けに公開しました。従来使用していた模型では再現できなかった、「ねじり振動特性」を再現できる総ウレタン製の一体型模型を当所で独自に製作し、これにより、ねじりに伴う船体への波のさまざまな影響について把握できるようになりました。今回の公開実験には、学術・業界関係者を中心に、約30名にご参加いただきました。冒頭、谷澤研究統括監が今回の公開実験の概要を紹介し、構造安全評価系の岡グループ長及び流体性能評価系の宝谷研究員が説明を行いました。


船舶大型化に伴う「ねじりによる変形や振動」に対応可能な実験模型のニーズを受け

近年、船舶の大型化が急速に進展しつつある中、とりわけコンテナ船においては、甲板部の開口幅が広がる傾向があり、そのため、ねじり剛性が低下し、また、ねじりによる変形や振動が顕著に発生する可能性が出てきています。そのため、そうした状況に対応するため、当所で実施する水槽試験においても、縦曲げ・ねじりモードの固有振動数、さらにモード形状まで相似関係を持った模型の利用が必要とされてきました。今回公開したのは規則波、不規則波中での同模型の曳航試験で、世界初の試みです。また、今回の公開実験に併せて、これまで利用してきたバックボーン模型 (分割型、一体型)ほか、今回実験に使用した模型のプロトタイプなどを展示しました。


総ウレタン模型による「ねじりの弾性振動特性」を再現可能に

これまでの実験に使用していたバックボーン模型では、縦曲げ・水平曲げの荷重計測、弾性振動計測はできましたが、「ねじり」に関しては荷重計測だけが可能で、弾性振動については、計測不可能でした。しかし、当所で開発した総ウレタン模型によって縦曲げに加えて、ねじりの弾性を相似にすることが可能になり、波浪中でのねじり振動特性を再現できることが確認できました。 実験のデモンストレーションにおいては、多くの見学者から歓声が上がりました。また、実験後の質疑応答の場では、参加者から様々な質問があり、当実験への関心の高さが伺えました。 なお、当所の実海域再現水槽は長さ80メートル、幅40メートル、深さ4・5メートルの長方形型水槽で、水槽の全周囲には、造波板が設置されています。規則波に加え、多方向不規則波を発生させることができるほか、水面に文字を描くような繊細な制御が可能です。

弾性相似模型船の水槽実験

弾性相似模型船の水槽実験

参加者の質問に対応する研究者

参加者の質問に対応する研究者

岡G長が参加者に概要を説明

岡G長が参加者に概要を説明

実験場所(実海域再現水槽)

実験場所(実海域再現水槽)

熱心に模型を写真に収める見学者

熱心に模型を写真に収める見学者