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平成30年12月27日

福戸特別研究主幹が海事振興連盟の勉強会で出前講座
—直感的かつわかり易い「衝突予防支援システム」について
共同および基礎研究を紹介—

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長 宇都正太郎)の福戸淳司特別研究主幹は、12 月14 日(金)に、都内海運ビルにて開催された、海事振興連盟主催「年齢制限のない若手勉強会」で、「直感的でわかり易い衝突予防支援システム」と題した出前講座を実施し、議員秘書および海事団体・企業から約20 名が、聴講に参加しました。昨今、熟練船員不足と人的ミスの回避のため、安全運航を実現するための運航操船支援が必要とされています。こうした支援を実現するためのシステム開発を開始すべく、海技研がこれまで行ってきた基礎研究に合わせ、当システム開発に係る共同研究が東京海洋大学、海運大手の商船三井、同社技術部門グループ会社である商船三井テクノトレードによる、産官学連携で実現、船舶の自動衝突防止に繋がる先進的な航行支援システムに関する共同研究を今年7 月より開始しています。当講座では、同プロジェクトの概要と弊所でこれまで進めてまいりました基礎研究の経緯と共同研究開発の進捗等について、わかりやすく福戸特別研究主幹に説明をいただきました。

OZTを視野に、多方位にわたる衝突の危険を事前に察知するシステムを開発

現在海事産業におけるデジタル化の流れの中で、通常、船舶の安全航行の確保や、将来的な自律航行の実現に必要とされる次世代型システムの開発が急ピッチで求められています。また先進的な航行支援システムの基礎研究が進む中、海技研では、上記企業、大学等と連携し、「自動衝突予防援助機能(ARPA:Automatic Radar Plotting Aids)」などの応用技術に繋がる、船舶の衝突回避アルゴリズムの一つである「相手船による航行妨害ゾーン(OZT:Obstacle Zone by Target)」の考えを導入し、このほど航行支援システムの開発を開始いたしました。OZT は通常、自船が針路を変更した場合に、周囲を航行する船(相手船)と衝突する可能性のある領域を示しますが、今回の共同研究開発は、このOZTを、操船の際に、本船のブリッジから実際に見える風景を撮影した画像と座標を合わせて表示することで、「どの方位に衝突の危険があり、その危険はどの船舶が対象であるか」を照合できるシステムを開発するものです。


避航操船判断を促す支援情報の表示とその評価について紹介

福戸特別研究主幹は、通常アジア海域等、避航操船に用いられているAIS やARPA などの情報表示の概要について説明、それらがOZT における衝突リスクに定義付けられ、計算できる現状を説明、各リスクの評価円を描いた際に、その円内で衝突リスク(CR)の評価が行われることで、どれだけのリスクが存在しうるかついて、これまでの研究成果をもとに説明いたしました。また動画等を用いて、こうした先進安全航行支援システムが配置されることで、実海域においてどれだけの主要機能の評価が行われているのか、についても紹介いたしました。講演後の質疑応答の場では、今後情報量が増える中でどれに照準させて操船に当たれば良いのか?など、参加者からは様々な質問が寄せられ、関心の高さが伺えました。


議員秘書ほか産官学から幅広い方々が参加

議員秘書ほか産官学から幅広い方々が参加

業界関係者から質問が多く寄せられました

業界関係者から質問が多く寄せられました