メガフロートはギリシャ語で大きいという意味の Mega と英語で浮体を表す Float を合わせた造語で、超大型浮体式構造物の事を指します。これは、1995年にメガフロート技術研究組合が結成されたときに造られた造語ですが、超大型浮体式構造物は VLFS(Very Large Floating Structure) と呼ばれることも多く、外国ではこの方が通りがいいでしょう。
構想では、長さ約5km、幅約1kmのメガフロートが考えられています。広大な面積を創出できることから海上空港などへの応用が考えられており、揺れ、強度、係留、周辺海域の環境変化といった幅広い分野についての研究がなされ、4000m級滑走路を持つ海上空港の試設計も行われています。大型タンカーの300〜400倍という広さです。
写真は、メガフロート技術研究組合が海上空港としての機能を検証するために建造した実験用メガフロートで、長さ1km、幅120mもあります。実際に中型航空機の離発着実験を行い貴重な成果を収めています。
メガフロートには、「地震の影響を受け難い」「自然環境に与える影響が少ない」「工期が短い」「地盤沈下といった影響が起こらない」「広大な内部空間が使える」といったメリットがあります。
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現在研究が進められているメガフロートは、ポンツーン型という形式のものです。
ポンツーンとは平型箱形船、平底台船の事を指します。他にセミサブ型(Semi-Submersible Type ; 半潜水式)と呼ばれる形式があります。ポンツーン型は、比較的波の穏やかな湾内などに適しており、安定性がよく、単純な構造のため建造期間も少なくてすみ、コストも安いという特徴を持っています。セミサブ型は、沖合の島嶼など、波の荒い海域に設置しても安定しているという特徴がありますが、ポンツーンよりコストは高くなります。

下の図はポンツーン型メガフロートの内部構造の一例を表したものです。スチール製の板骨を組み合わせた構造で強度を保っています。耐用年数100年で設計がされています。また、内部にはたくさんの空間があり、各空間は隔壁で仕切られているため、万一の事故でも簡単には浸水が進展しない構造になっています。

下の図は、一般の船とメガフロートの波の中での揺れの違いを説明したものです。
一般の船は波の波長にくらべて小さい構造なので波に乗りやすく、1つの固まりとして揺れてしまいます。メガフロートは波長より大きいので、メガフロートの中にはたくさんの波が入り込むことになり波に乗ったような揺れはありませんが、板ばねが振動したようなモードで揺れます。一般の船の揺れ方を「剛体運動」メガフロートのような揺れを「弾性運動」と呼んでいます。
メガフロートでは全体としてたくさんの波同士がお互いの力を相殺するように働くため揺れは小さくなります。また、通常時の波はメガフロートの先端付近で反射されてしまい奥深く進入することがないため、中央部付近ではほとんど揺れません。

メガフロートの揺れ「弾性運動」は、例えば、空港として利用しようという場合には、飛行機を安全に誘導するための電子機器のアンテナなどを揺らすことになり、ほんの僅かでも空港機能に大きな影響を及ぼすことになります。このため、弾性運動の大きさをできるだけ正確に推定しておく必要があります。
また、弾性運動は構造物の部材の変形によって起きますので、構造強度に密接に関係するものであり、設計にとっても非常に重要です。
海上技術安全研究所では、下図のような構造にモデル化してメガフロートの弾性運動を計算しています。

下の図は 1. のプログラムを用いて、1000m×200mのメガフロートが/ ̄ ̄\型防波堤の中にあるときの周囲の波の様子を計算したものです。波の周期は10秒で、X軸に対して30度の方向から来ています。heightの数値は、入射波の振幅に対する波の高さの比です。メガフロートの弾性変形も同時に表されていますが、-0.2〜0.2 の間しか変化していませんので、2色(白と薄い水色)でしか表されていません。防波堤の背後は当然ながら波が低くなっていること、防波堤前面は反射波が干渉して波の山も谷も入射波振幅より大きくなり、きれいな市松模様のようになっていることがわかります。(クリックすると動画が見られます。但しダウンロードに多少時間がかかります[705KB]。)
メガフロートは非常に大きな構造物なので、実験にも大きな模型が用いられます。海技研では通常、海洋構造物試験水槽という平面水槽を用いてメガフロートの実験を行っています。この水槽の大きさは、長さ40m×幅約27m×水深0〜1.8mで、波と流れを起こすことができます。

実験に使う模型は、水槽の壁と模型との間の波の反射の影響(側壁影響)をできるだけ受けない程度の大きさにする必要があります。海洋構造物試験水槽では水槽の幅27mに対して約10mの模型が用いられました。4kmの模型ですと縮尺1/400となりますが、縮尺1/100を超えると実験上の制約が出てきて、高い精度も期待できなくなります。まず、相似則が合わせづらくなります。相似則とは、実際のメガフロートと同じ力学的状況を縮尺模型上で再現するための法則です。 次のような関係を合わせる必要があります。

海技研では実験精度を重視して1/30〜1/100の範囲の模型を用いています。
模型の断面構造の一例を図で紹介します。アルミ製のハニカム板の下に浮力材を貼り付けています。浮力材(独立発泡ポリエチレン:比重 0.027)の剛性は、4cm 厚位であれば、通常、全体剛性には影響しないと思います。
| 鋼 | アルミ | アクリル | 塩化ビニル | ポリカーボネート | |
|---|---|---|---|---|---|
| 比重 | 7.9 | 2.7 | 1.2 | 1.4 | 1.2 |
| ヤング率(引)kgf/mm2 | 21000 | 7200 | 330 | 250 | 250 |
| ヤング率(曲)kgf/mm2 | 21000 | 7200 | 330 | 320 | 300 |

右の図はメガフロート模型の弾性運動を計測する方法の一例です。弾性運動を表現できる数メガフロート上に展開しなければなりませんので、通常数10個は必要になります。


ポテンショメーターというのは、ラジオのボリュームと同じ原理で、回転角の変化を電気抵抗の変化に変換してくれるものです。弾性運動はメガフロート表面の上下運動の集まりと見なせますので、上下の直線運動をワイヤーで導いて回転運動に直しています。
ポテンショメーターは軸径の細いものの方が摩擦が小さく好ましいようです。
我々は、緑測器製CP-2FC-5kΩを良く使います。回転摩擦が小さく、コネクターが付いており設置・配線が容易で、何より廉価である(コネクター付実売価格4千円弱)というのが理由です。
プーリーは田宮模型のラージプーリーセットという製品が廉価で使いやすいと思います。
そのままの軸穴は細いので、ポテンショメーターの軸径に合わせるため3.2mmのドリルで広げて使います。ワイヤーは少し高価になりますが0.4mm位のナイロンコーティングされたステンレスワイヤーが良いようです。釣り糸なども使った経験がありますが、延びが大きく短周期で共振の影響などが出やすくなります。このシステムを適切に使えば0.1mmの精度は得られると思います。
さて、数が多いのでポテンショメーターの較正が大変な作業になりそうですが、全体をインストールした状態で水深を変化させれば1度に簡単に済ます事ができます。