バラストタンクを利用した蓄熱タンクの開発

(JRTT殿委託研究)


現在、熱回収型バラスト水処理装置のランニングコストを大幅に低減するために、バラスト水に航海中の主機排熱を蓄熱し、バラスト水処理時に供給する「蓄熱タンク」の開発を目的に研究を行っています。

  

通常のバラストタンクは、鋼板を介して、海水、大気及びカーゴスペース等と接しているため、主機排熱を有効に蓄熱するための断熱方法が必要になります。そこでバラストタンク内側に断熱材の施工を考え、断熱材の材質について検討を行った結果、断熱性の高いガラスマイクロバルーンを混練した断熱パネルが材料の候補となりました。



断熱パネル成型実験では、前記候補材とマトリクス(バルーンのツナギ)として、エポキシ系及び不飽和ポリエステル系樹脂を用い、断熱に必要な厚さ50mmのパネルから成る簡易蓄熱タンクを製作し、90℃温海水の貯蔵実験を行ったところ、タンク内部(90℃)と外部(室温)の温度差による熱変形が発生したものの、貯蔵に成功しました。



実船のバラストタンクの内部構造は船によって違いがあり、補強材であるロンジ、フレーム等が設けられているため、蓄熱タンクの性能設計を行う上で、断熱材の厚さ、補強材の配置などが断熱性能に与える影響を評価し、設計算式として与える必要がありますが、タンク内構造の寸法をパラメータとして、蓄熱タンクの性能予測を行うことが可能となりました。

以上の成果に基づき、当所大阪支所に設置された模擬バラストタンク(右図)内部への断熱パネル施工を行い、効率の良い施工方法について検討すると共に、断熱性・耐久性についての検証を行っています。

バラスト水について

船舶(特に貨物船)が無積載で出港する際に、重しとして船底にあるバラストタンク内に積み込んだ海水(バラスト水)は、荷物を積載する港で船外へ排出されます。

バラスト水は、有害生物や病原菌を運んでしまうことから、生態系が撹乱されるなどの国際的な問題になっています。また、これまで行われてきた科学処理システムでは、活性物質による海洋汚染につながる恐れがあります。これに対処するため、当研究所では『熱処理方法による環境に優しいバラスト水管理システム』を開発しています。

【簡易蓄熱タンク】1000mm×1000mm1000mm
  手前:不飽和ポリエステル樹脂
  奥  :エポキシ系樹脂

【船舶におけるバラストタンクの位置】
        ※青色で示す箇所

蓄熱タンクの開発

【バラストタンク蓄熱模擬装置】
実船バラストタンクの一部を模している

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