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(2) 舶用ハイブリッドシステム



概要

 従来、船舶の主動力源には、 50%以上の熱効率を有する高効率ディーゼルエンジンが採用されています。これに対し、他の輸送機関では、自動車のガソリンエンジンで35 %程度、航空機のジェットエンジンで30 %程度の熱効率となっています。このため、船舶の動力源は、他の動力システムと比べて、極めてエネルギーの有効利用がなされていると言えます。しかし、昨今の地球温暖化に代表される環境問題や石油価格の変動などの社会的背景により、船舶分野においても、更なる燃料消費削減が必要とされてきています。このような背景から、船舶から排出される地球温暖化ガスの削減を目指し、高効率ディーゼルエンジンの特徴を最大限に活かすとともに、電気エネルギーや自然エネルギーを利用する次世代船舶用ハイブリッドシステムが注目されています(論文、解説等へのリンク) 。

@舶用ハイブリッドシステムのコンセプトの検討

A排熱回収スターリングエンジンの開発

B排熱回収ランキンサイクルの開発


@舶用ハイブリッドシステムのコンセプトの検討

 自動車におけるハイブリッドシステムでは、発進と停止を頻繁に繰り返す運転をするため、停止時に回収したエネルギー(回生エネルギー)を発進時に使うことでエネルギーの無駄を省くことができる。また、発進時など,大きいトルクが必要なときにエンジンと電気モータを併用できるため,搭載するエンジンの最大出力を小さくすることで,燃料消費を削減できる。 一方、船舶では、ほとんどの時間、一定の速度で運航しているため、自動車のような回生エネルギーの利用は期待できません。また、船舶は、エンジンの最大出力付近(実際には最大出力の80%程度)で運航しているため、エンジンの出力を小さくすることは適切ではありません。このため、次世代舶用ハイブリッドシステムでは、電気エネルギーを有効に利用し、高効率ディーゼルエンジンの特徴を最大限に活かすシステムを検討しています。 次世代動力システムセンターでは、次世代船舶用ハイブリッドシステムの基本コンセプトを検討をしています。


図 舶用ハイブリッドの基本コンセプト 

特徴
 ・力の回生とアシストをするための発電機/モータ並びに大容量の蓄電システムを 用いることでディーゼルエンジンを常に最高効率の条件で運転する。

 ・高効率な排熱回収装置を搭載する。

 ・陽電池や風力発電などの自然エネルギーを利用する。

 ・燃料電池などの水素エネルギー技術を利用する。


A排熱回収スターリングエンジンの開発

スターリングエンジンは、温度差のある熱源により、内部の気体を膨張・収縮させて 駆動力を得る外燃機関です。理論熱効率が高く、作動空間内の温度差を利用して運転する外燃機関であるため、あらゆる高温熱源を利用できるエンジンです。次世代動力システムセンターではこれまで、船舶ディーゼルエンジンから放出される排ガスの熱を利用した排熱利用スターリングエンジンの研究開発を進めてきました(論文、解説等へのリンク) 。


図 スターリングエンジンの原理

これらの成果をうけてスターリングエンジンよる排熱回収システムを開発し、2011年10月に電気推進船「鶴洋丸」に搭載しました。 この電気推進船「鶴洋丸」に搭載したスターリングエンジンは、300℃程度の排ガスを熱源として、3kW程度の発電をすることができます。発電開始・停止の制御システムも同時に開発しているため、船舶の運航時には常に排熱回収発電が行われます。

図 電気推進船「鶴洋丸」


図 搭載したスターリングエンジン(鶴洋丸船内)

*電気推進船「鶴洋丸」に搭載したスターリングエンジンは、東海運株式会社、株式会社eスターと共同で開発しました。
B排熱回収ランキンサイクルの開発

 排熱からの動力回収は省エネルギー化の有効な手段です。大型船舶では排ガスエコノマイザと蒸気タービンによって数百kW程度の排熱回収が行われることがありますが、中小型船舶ではこのような大規模な排熱回収装置のスペース確保が難しいとされています。このため、中小型船においては、排熱がほとんど利用されていません。そこで、次世代動力システムセンターでは、中小型船舶用に効率の良い小型排熱回収ランキンサイクルに着目し、そのなかでも低コスト・高効率なレシプロ型膨脹機について研究・開発をしています。


図 実験用レシプロ型ランキンサイクル膨張機


図 実験用レシプロ型ランキンサイクル膨張機の概要


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