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(1)NOx削減等排ガス対応技術



概要

動力システム系では,NOx削減等排ガス対応技術に関連して下記の二つの研究を実施しています。

@舶用SCRの認証技術の確立

Aエンジン内における燃焼の高度化技術の研究開発


@舶用SCRの認証技術の確立

 次世代動力システムセンターでは、これまで舶用SCR技術の研究開発に取り組んできました。SCR(Selective Catalytic Reduction)技術とは,排気ガス中のNOxを削減する排気ガス後処理技術のことです。触媒と還元剤(アンモニアガスや尿素水)を用いてNOxの削減を行います。NOxは下図のように触媒上でNH3と反応し窒素と水に分解されます(下図参照)。


図 SCR概要

 これまでにSCRを取り付けた舶用4ストロークディーゼルエンジンによる性能評価試験や、フィールド試験用SCRシステムを開発し、長時間の運転を想定した実船試験などの実施により、多くの技術課題を抽出しました。(論文、解説等へのリンク) これらの成果をうけ、次世代動力システムセンターではSCRの認証技術の確立を目指した研究開発をおこなっています。


図 SCR実験用システム概要図

 SCRが装備されたエンジンの認証は、NOx テクニカルコード2008(NTC2008)及びMEPC62にて採択されたSCR認証ガイドライン(ガイドライン)に基づいて実施する必要があります。ガイドラインでは、「スキームA」と呼ばれるエンジンとSCRを一体でとしてNOx脱硝率を計測する方法に加えて、「スキームB」と呼ばれるエンジンのNOx 放出量とSCRの脱硝率を個別に計測する方法を提示しています。スキームBはSCRの認証に係るコストを抑えた合理的な方法として業界からその必要性が示されています。
 このスキームBによるSCRの認証を円滑に実施していくため、NOx 測定の方法や条件の違いなどの認証課題の抽出に向けた研究をしています。この研究ではマイクロリアクタ装置により、エンジンからの排ガスを再現した模擬排ガスを用いて、様々なサンプル触媒のNOx 脱硝率性能試験などをおこなっています。


図 マイクロリアクタ装置の概要


Aエンジン内における燃焼の高度化技術の研究開発

 船舶から排出される大気汚染物質の低減は重大な課題であります。硫黄酸化物(SOx)の低減については、燃料中の硫黄分の規制で行われており、2015年から指定海域(ECA)において硫黄分0.1%以下に、2020年(or2025年)からは一般海域において硫黄分0.5%以下に規制される予定となっています。このような中、低硫黄燃料の供給が十分行えるのか、今後の残渣油の扱いをどうするのか、舶用燃料が高騰するのではないのか、トラブル燃料油が出回らないのかなどの問題が懸念されています。 今後の舶用燃料油の動向は不明確ではありますが、使用燃料の選択肢を広げておくことは重要であります。次世代動力システムセンターでは、これまで舶用ディーゼルエンジンに向けた多様な燃料に対応できる燃焼技術の研究開発に取り組んできました。この成果として、着火性の悪い燃料に対応するため、従来の機械式燃料噴射装置に小型の電子制御式燃料噴射装置(自動車用のコモンレールを活用)を組合せたシステム(ハイブリッド・インジェクション・システム)を開発しました。小型の電子制御式燃料噴射装置による噴射(アシスト噴射)を適当なタイミングで行うことにより、着火性の改善、スモーク発生の低減、NOx発生の減少などの効果を確認しました。


図 ハイブリッド・インジェクション・システムの概要

このハイブリッド・インジェクション・システムの特徴としては下記のことが挙げられます。

 ・簡易で安価な装置を既存のエンジンに後付けできるとともに、復旧も非常に容易に行えます。
 ・ 元の機械式燃料噴射により、安全性や船舶において重要となる冗長性は担保されています。アシスト噴射は性能向上のためのものであり、悪化させることはありません。

  またハイブリッド・インジェクション・システムの効果と可能性としては下記のことが挙げられます。

 ・着火性の悪い燃料の燃焼改善に効果があり、様々な燃料の利用が可能になります。

 ・燃焼条件の厳しい低負荷域での燃焼を向上させます。

 ・フルの電子制御燃料噴射装置に準ずる燃費向上の可能性があります。今後詳細なデータを取得して詳細に調べていく予定です。

 ・アフター噴射を使用すれば、NOx低減も可能です。更に詳細に調べていく予定です。


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