(4)カオス横揺れの解析
船舶等が事故による浸水や積載重量オーバー等の原因で重心が上がり復元力が小さくなると、転覆の危険が生じます。また転覆に至らないまでも、傾斜した状態で辛うじて浮いているような場合には、たとえ規則波中であっても波高により非常に複雑な横揺れが発生することが分かっています。波浪中浮体運動の非線形計算法では、このような状態の浮体運動もシミュレートすることが可能です。
下に示す波形は船体中央横断面形状をした2次元浮体の波長10mの規則波中で横揺れの計算結果です。波高を1cmから30cmまで段階的に変化させると、横揺れの様子が大きく変化することが分かるでしょう。これらの不規則は横揺れはカオス横揺れと呼ばれ、船舶にとって予測が困難な危険な横揺れであるため、その防止方法や制御方法が現在研究されています。本計算法はこのような浮体の非線形応答の研究に大変有用です。
不安定な浮体に生じるカオス横揺れの計算波形
Hw = 7.5cm (Burst) のポアンカレ断面
下図は上図の波形のうちHw=7.5cm(Burst)のポアンカレ断面です。ポアンカレ断面とは横軸に横揺れの角度、縦軸に横揺れの角速度を波周期毎に点でプロットしたもので、カオス横揺れの場合にはフラクタル構造を有することが知られています。この図でも明確な構造を有していることが伺えます。波に対する横揺れの位相を変化させてポアンカレ断面を描くと一連のアニメーションを作成することができます。アニメーションではいわゆるパイこね変換により、フラクタル構造が生み出されていく様子を見ることができます。
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