海上技術安全研究所 構造系 構造解析・加工研究グループ
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海上技術安全研究所 構造解析・加工研究グループ平成22年度以前の研究
こちらでは平成22年度以前に実施した研究をご紹介します.
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次世代生産システムの研究開発

次世代生産システムの開発に関する基礎調査
 造船の現場では職人の経験,技能に依存している部分が多く,またそれらの技能が体系化されていないため,技能者の高齢化によって若い作業者への技能の伝承に支障が生じています.また,造船に従事する技能者は今後減少していくと予想されており,今後も造船業を維持していくためには,建造工数の削減が必要です.
 本研究では,建造工数の大幅な削減を目指す「次世代生産システム」開発の為に,造船における艤装作業の実態調査を行っています.
年齢構成
中小造船における年齢構成
機関室
様々な艤装品が密集する機関室

艤装とは?
艤装とは,船の中で,外側の壁・甲板や骨組み(これらは船殻と言います)以外のすべての部分のことです.
色々な機器,装置の他,エンジン(機関),配管,電線等を指しています.


造船技能研修用教材について(詳細はこちら)
 当所では,国土交通省及び日本財団の援助の元,(社)中小型造船工業会からの委託により,造船技能研修用映像教材を作成致しました.詳細につきましては,上記タイトルよりお進み下さい.

電気艤装技能研修用映像教材作成
 船には非常に多くの電線が張り巡らされています.電線を固定する「電路金物」を設置してその上に電線を布設し,末端で機器に結線する一連の作業が電気艤装(電装)です.本グループでは電装作業の技能伝承のため,作業を網羅した技能研修用映像教材を作成しました.本教材は特に電線を布設する「配線」作業に重点をおいた作りとなっています.
電気艤装
電路の設置位置決定の考え方から実作業まで
を解説します
電気艤装
個別の作業についても実際の映像を交えて解説しています

歪取り技能研修用映像教材作成
 もともとは平らな鋼板であっても,船を建造する過程での溶接などにより変形してしまいます.歪取りは,そのような変形を修正する,居住区の内装及び艤装,甲板機械設置の前工程であり,その作業期間は岸壁艤装期間に大きな影響を与えます.また,この作業の難易度は撓鉄より若干易しいと言われているものの,相当に熟練を要する作業です.更に,施工方法が造船所により異なり,工数のばらつきも大きくなっています.一方,近年の建造量増大と建造期間圧縮のために,歪取り作業者の育成が求められています.そこで,歪取り技能者の早期育成のため,「歪取り技能研修用映像教材」を制作しました.

造船特殊技能伝承に関する基盤調査
 ひずみ取り作業の工作精度も撓鉄作業と同様,職人の技能に依存しており,建造の自動化を妨げる要因となっているのみならず,ひずみ取り職人の高齢化により技能伝承が難しくなっていることから,入熱量等の作業パラメータと変形量の基礎データを収集する必要があります.また,船舶検査の検査精度も現場の検査官の経験に依存していますが,検査手法が体系化されていません.そこで,船体上部構造物のひずみ取り作業を模擬した加熱実験により変形量の計測を行い,基礎データを取得し入熱量と変形量の関係式を得ました.また,船舶検査の実態調査により技術課題の抽出を行うと共に,経験の浅い検査員の補助を狙ってハンマリング聴音計測の定量化を試みました.

機関据付(初・中級)の技能研修用教材作成
 機関据付は,エンジン・推進軸・プロペラの軸芯を出す作業であり,軸芯にずれが生じていると,船の推進効率に大きな影響を与えます.機関据付は,ぎょう鉄・歪取りとは異なり,何種類もの作業が組み合わされた複合作業であり,多様な知識・技能の習得が必要とされ,相当に熟練を要します.更に,要求される施工精度が概ね1/100mmで,船体構造の精度が数mmであるのと比べて,緻密さが求められる作業です.
機関据付においても,ぎょう鉄・歪取りと同様に技能者の高齢化が進んでおり,機関据付作業者の育成が求められています.そこで,機関据付技能者の早期育成のため,「機関据付(初・中級)の技能研修用教材」を制作しました.
配管艤装
プロペラ,推進軸,エンジン(機関)等の据付を
機関据付と言います
配管艤装
各工程毎に,詳しい解説が行われます
(写真はプロペラ取付の様子)

配管艤装の技能教材作成
 パイプを船体に取り付ける作業を「配管艤装」と言います.船舶には非常に多くのパイプがあらゆる場所に張り巡らされており,船体をヒトの体で例えるとパイプは血管といえるでしょう.パイプは船の運航,機器の運転,乗組員の生活など,様々な用途に使われており,安全な航海のために船には欠くことのできない重要な要素の一つです.そのため,一人前の配管工になるには多くの経験やノウハウが必要であるため,多大な時間と経験が必要と言われています.一方,現在,わが国の製造業においては,年齢構成等により技術伝承が危ぶまれており,造船業においてはその現象が特に顕著となっています.
 このような状況の中で,本研究グループは,造船業における技能伝承問題に対する試みとして専門技能研修用教材の作成に取り組んでおり,その一環として,パイプを船体に取り付ける作業である「配管艤装」に対する教材を作成しました.以下に示す内容について,教材(DVD,テキスト)及び研修プログラムを作成しました.
配管艤装
配管には曲げ,溶接など様々な加工が必要です
配管艤装
CGと実写により工作手順を説明します

船舶のリサイクルに関する研究

FRP破材の非粉塵飛散型セメント焼成用リサイクル製品の開発
 FRP廃船から排出されるFRP破材を湿式で粉体化し,樹脂等のバインダーを用いて固化したペレット型の粉塵が飛散しないセメント焼成用リサイクル製品,及び製造システムを開発することを目的として研究を行っています.
FRPリサイクル装置
リサイクル製品製造装置及び粉砕機
FRPリサイクル原料
FRPリサイクル製品(粉砕されたFRPと農ポリの混合物)

所外報告
秋山繁: FRP廃船から排出されるFRPの粉体化処理に関する新技術,日本機械学会関東支部 第13期総会講演会講演論文集(2007.3)


船舶の解撤に伴う環境汚染の防止に関する研究(詳細はこちら)
 役目を終えた船の解体撤去(解撤)は,コスト等の問題から殆どが発展途上国で行われていますが,その作業現場の劣悪な労働環境,解撤に伴う環境汚染が問題となっています.IMO(国際海事機関)では,国連の諸機関と連携し,「安全かつ環境上適正な船舶の再資源化に関する国際条約(シップリサイクル条約)」の策定作業を実施しています.
 海技研は,国土交通省海事局,(財)日本船舶技術研究協会および(社)日本中小型造船工業会からの委託を受けて本問題に関連する調査研究を実施しています.
シップリサイクル
バングラディシュの解撤風景(海技研撮影)

船舶用材料,塗装の強度及び検査に関する研究

極厚板溶接部の脆性亀裂の発生と防止に関する調査研究(詳細はこちら)
 近年のコンテナ船の大型化に伴い,構造用鋼板の厚みが増大しています.この様な厚みの増した鋼板は,その破壊に対する性質が,従来の材料とは異なることが分かってきています.
 海技研は,(財)船舶技術研究協会に設置された超大型コンテナ船構造安全対策検討委員会に参加し,コンテナ船の構造安全対策策定に関わっています.

関連リンク
超大型コンテナ船構造安全対策検討委員会((財)日本船舶技術研究協会)


防食・疲労強度安全管理の対策技術の開発(詳細はこちら)
 国際海事機関(IMO)においてバラストタンク塗装基準の適用が決定され,塗料の耐用年数,検査,使用可能な塗料等についての基準が策定されました.また,塗膜劣化の防止及び予測は,船のライフサイクルコスト低減,船体の腐食対策の面からも重要です.しかし,実際に就航している船舶のバラストタンク塗膜の劣化の状況については,十分に解明されてはいません.
 本研究では実船のバラストタンク塗膜を調査し,各種のデータを取得しました.

低VOC塗料の開発及び評価(詳細はこちら)
 揮発性有機物質(VOC : Volatile Organic Compound)を含む塗料は,平成14年4月から,排出移動登録制度(PRTR: Pollutant Release and Transfer Resister)で量的管理が義務化されています.
 また,改正「大気汚染防止法」が平成16年5月の国会で可決され、2010年に,2000年比30%のVOCの削減目標が立てられています. 船舶においても塗装の溶剤などに含まれるVOCの低減を図っていく必要があります.
 今後の研究では,現行塗料に匹敵する性能を有し,かつ低廉な低VOC塗料の開発を目指します.
 また,その性能を確認して,実用に耐えうる環境に優しい塗料を実現し,環境保全へ貢献することを目的とします.

純チタン圧延材の疲労強度に関する基盤的研究(詳細はこちら)
 純チタン材料は軽量かつ耐腐食性が優秀であり,溶接構造物への適用が期待されていますが,疲労強度のデータが不足しており,鋼及びアルミニウム合金と同様の疲労設計指針の作成のためには様々なデータを取得する必要があります.
 本研究は,純チタン材料による材料試験を行ってデータを取得することにより,疲労設計指針作成に資することを目的とするものです.

所外報告
IWATA Toshiaki and MATSUOKA Kazuyoshi: Ti-2007(2007), Vol.II, pp.1637-1640.


フェイズドアレイ探傷器を用いた衰耗のど厚の測定方法
過去,船体の大規模破壊事故において,構造の接合部破断が重要な役割を演じてきました.特に,のど厚とは,図1に示された隅肉溶接部の厚さのことですが,デッキ下では集中的に腐食が進行し,接合部の強度が著しく低下することがあり,検査によってその衰耗程度を測定することが,事故防止の為に必要です.しかし,この様な部位は,検査が困難であり,また,測定の基準が無い状態でした. 
本研究では,超音波測定法の一つであるフェイズドアレイ法を用いて,のど厚を測定する手法を開発しました.
のどあつ
のど厚測定の模式図
測定値
測定したのど厚と実際の厚さの比較

超音波によるFRPの厚みと硬化度確認の調査研究(民間請負研究)

 腐食・摩耗などが進行した材料に手を加え,再び健全に使用できる状態にする工法を更正工法と呼びます.熱や化学反応で固まる硬化性の樹脂を用いて配管の内面を更正する場合には,施工後に樹脂が硬化しているかどうか把握することが重要です.
 海技研では,超音波による検査技術を用いて,樹脂の硬化状態を推定する手法を開発しました.

構造用接着剤接着強度確認の為の機械試験(民間請負研究)

 現行のFRP製舟艇・Al合金製舟艇は,共に接合及び仕上げに多くの工数がかかっており,工期短縮により建造コスト削減が可能な新たな接合方法の開発が期待されています.一方,自動車・建築の分野では接着剤が多用され,撓みや歪みを吸収する構造用接着剤も開発されています.よって,これら構造用接着剤を船舶へ適用することにより,新しい舟艇建造方法が開発され,従来のFRPの二次積層やAl合金の溶接歪取りにかかる工数の大幅な削減,工期短縮・建造コスト削減が可能となります.この舟艇造船業の生産性向上により,舟艇市場の需要喚起を図ることも期待されます.
 そこで,構造用接着剤を多用する舟艇建造技術を開発して,その実用性・信頼性を実証・検証するため,構造用接着剤接着強度確認に必要とされる試験のうち,クリープ破壊接着強さ試験および引張せん断疲れ特性試験を実施し,引張せん断荷重とクリープ荷重の関係について疲労強度等の基礎データを取得しました.

イオン化ナノバブル技術の船舶技術への応用可能性の調査(船舶技術研究協会との共同研究)

 数百ナノメートル以下の微細な気泡である「ナノバブル」は水の浄化作用・生体への活性化作用があり,様々な分野への応用が期待されています.そこで,ナノバブル水の船舶技術への応用性を探るため,発生原理の調査,化学的特性の分析,粒度分布計測等ナノバブル水の物性評価を行い,バラスト水の殺菌への応用の可能性を検討しました.
 現在の発生装置及びシステムでは,濃度が不足し実用に必要とされるレベルに達しておらず,今後に向けてエネルギー効率の向上等の改良が必要な状況です.

関連リンク
所内発表会講演資料(H17)


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