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構造基準研究グループ

Ship Structural Standards Research Group

 


 

 主要船級協会の船舶の構造基準に関する基準のうち、2006年度にバラ積み貨物船と油タンカーに関して基準が統一され、また、IMOではGBS(目標指向型基準)と称する新しい概念の国際基準を開発する等、大きな転換期を迎えています。

 当グループでは、超大型コンテナ船に関する荷重推定法や構造信頼性評価に立脚した構造基準の開発を通じて、このような国際基準の動きを積極的にリードしていきます。

 

グループ長 小川 剛孝

グループメンバー(職員一覧)

トピックス

概要

 現在当グループでは、安全に関する国際基準の動きを積極的にリードしていくために、以下の広い範囲の研究課題に積極的に取り組んでいます。

1.IMO(国際海事機関)ゴールベース構造基準(GBS)策定への取り組み

2.大型船、高速船の構造強度評価技術

3.荷重−構造一貫解析技術の高度化

4.船体の残存強度や構造冗長性に関する研究

5.荒天中での耐航性能評価技術

6.防食技術に関する研究

研究成果の社会への還元

1.IMO(国際海事機関)ゴールベース構造基準(GBS)策定への取り組み

 IMO(国際海事機関)は、造船・海運にかかわる問題を政府間レベルで協議する国連の専門機関のひとつです。海上の安全、海洋汚染の防止などに関する国際的な海事規則(条約、コード等)を審議、採択します。締約国政府は、採択された規則を遵守しなければなりません。

 現在、IMOでは、タンカーの折損事故による大規模油流出事故を契機に、船体構造設計基準の国際的な体系見直しを開始しました。構造設計規則を作成するにあたっての、IMOと船級協会の役割が明確になり、船級協会は、IMOで合意される目標(ゴール)、機能要件に従って、構造寸法等を規定する船体構造設計規則を作成しなければならなくなります。

 そこで、リスク(海上における人命・財産の喪失、海洋汚染など)を物差しにして、確保すべき目標(セーフティレベル)を定量的に設定し、達成するための性能要件も定量的に把握できるようにすることをねらった方法が、セーフティレベルアプローチとよばれる対策方法です。現在、このアプローチによる問題解決にむけて、欧州と我が国が協力して進めています。このアプローチを科学的に実践することは、すなわち、リスクモデルを確立し、リスク解析を実施することにより、目標セーフティレベルを算定することです。このため当グループでは、GBS策定に向けて、これに資する技術的検討に取り組んでいます。また、IMOに研究成果を提供するだけでなく、日本代表団としてIMOでの会議に出席する等積極的に取り組んでいます。

2.高速船の大型化に伴う構造強度評価技術

近年、社会ニーズの変化に伴い、大型化が求められる高速船が増えつつあります。これらは、十分な載貨重量(荷物等を積むことが出来る重量)を確保するために従来以上に軽量化が必要とされています。この結果、船体の従来に比べて柔になることも起こり得ます。この時、波に打ちつけられた船体に働く衝撃圧(スラミング衝撃)による船体の弾性振動が従来の高速船よりも一層顕著になります。これが、従来以上に船体の構造強度に影響を及ぼすことが懸念されています。

 このため、当グループでは、大波高中での船体構造応答の評価手法の開発とこれらの手法を活用した大型高速船の構造基準のための研究を行っています。

3.荷重−構造一貫解析技術の高度化

 GBSの発効によって、構造基準の技術的背景についての更なる説明責任が増しています。また、大型化、高速化にともない経験則に当てはまらない新形式船が増えていることから、より合理的な強度評価手法にもとづく構造設計が重要と考えられています。

 このため、当グループでは、このような合理的な強度評価をおこなうための荷重−構造一貫解析技術の研究を行っています。

4.船体の残存強度や構造冗長性に関する研究

 1997年、日本海で起きたナホトカ号折損・大規模油流出事故は、まだまだ記憶に新しい海難事故です。その後、エリカ号(1999年:フランス沖)、プレスティジ号(2001年:スペイン沖)と、立て続けて同様の大規模油流出事故が起こり、海上安全と海洋汚染防止に向けた国際的な取り組みが強化されました。

 これらの事故に共通して、シングルハル(単船殻)タンカーの腐食による船体構造の強度低下が原因とされています。現在は、ダブルハル(二重船殻)タンカーに徐々に移行しているところですが、ダブルハルタンカーに対する構造強度の経年劣化問題が解決されたわけではありません。このような海難事故を防止するためには、船体構造の定期的な検査を徹底することが最も重要です。ただ、大型構造物であるタンカーの船体構造を詳細に検査するには、大規模な構造崩壊につながる初期の不具合(腐食、亀裂等)を、効率的にかつ効果的に検査することが求められます。そこで、海技研は、船体構造の劣化メカニズムを解明し、プロアクティブに解決するためのシミュレーション手法の確立に取り組んでいます。

5.荒天中での耐航性能評価技術

 近年コンテナ船の大型化が進み、最大で船長400m程度で13000個積みのコンテナ船が出現しています。これらは、現行の構造基準や復原性基準で想定していなかった大きさです。

 とりわけ、近年の大型化したコンテナ船や自動車運搬船(PCC)では、波浪中で復原力が大きく変動する事により正面から波をうけているにもかかわらず、パラメトリック横揺れといった激しい横揺れが生じることがあります。このため、船が転覆せずに安定して航行する性能(復原性能)の低下や船に積み込んだ荷物が荷崩れを起こすなどの問題が顕在化しています。これらをうけて、国際海事機関(IMO)では現在復原性基準の見直しを行っています。

 このため、当グループでは、荒天中での耐航性能評価手法の開発とこれらの手法を活用した復原性基準策定のための研究も行っています。また、IMOに研究成果を提供するだけでなく、日本代表団としてIMOでの会議に出席する等積極的に取り組んでいます。

6.防食技術に関する研究

 現在、ほとんどの船は、鋼材で出来ています。また、船は、海上、もしくは、河川等の水上という鋼材にとって錆びやすい環境の中で航海しているため、安全な航海を続けるためには、適切な防食措置(錆びないようにすること)をとることが重要です。特にバラストタンクと呼ばれる船のバランスを取るために海水を張るタンクは、腐食環境が厳しく(錆びやすく)、船にとって、このバラストタンクをいかに健全な状態で保つかということは、重要な課題のひとつです。このため、IMO(国際海事機関)では、バラストタンクを防食するための塗装基準を国際条約として定めました。この条約では、バラストタンクの塗装仕様から、塗装される塗料に関することまで規定されています。使用する塗料に関しては、厳しい認証試験に合格した塗料しか塗ることが出来ないことが決まりました。

 この条約の制定をうけて、当所においては、製品安全評価センターと協力して、塗料の認証試験を実施しています。

 また、バラストタンクだけでなく、ボイドスペースや貨物油を積むカーゴタンクの塗装に関しても、合理的な条約作成に貢献するための調査研究を行っています。さらに、認証機関)、業界への技術指導を通じた研究成果の還元も行っています。

研究成果の社会への還元

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