10 MODE AT SEA
船舶から排出されるCO2は、当然ながら地球温暖化の原因となりますが、その量は現状では世界で排出される人為起源CO2の約3%と言われています。しかしながら、これからの世界経済の発展にともなう海上輸送量の飛躍的な伸びによって、船舶から排出されるCO2排出量は急激に増加するのではないかと考えられています。
増加するCO2排出量の削減を目指し、船舶の実海域における性能を評価する指標「海の10モード指標」を構築しました。
「海の10モード指標」は、船舶が実際に航行する海象の下での性能を表します。波や風がある状態での船の性能は、波風がない状態での性能と異なります。船舶が実際に航行する海域では波や風があるため、波風中の性能が重要です。海の10モード指標により、船舶が実際に航行する実海域での性能を知ることができます。
「海の10モード指標」は、具体的には、波風中での船速低下量を示します。船速低下量は船舶それぞれの実海域性能により異なるので、船舶の実海域性能を示す指標となります。
船舶により異なる船速低下量
海の10モード指標を計算する波・風の状態(10モード)や海の10モード指標の例はこちら
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海の10モード指標
波風中での船速低下を正確に推定するためには、風による抵抗、波による抵抗を精度よく計算する必要があります。海の10モードセンターでは、これらを精度よく計算することができる計算法(実海域性能評価プログラム(SPICA))を開発しました。この計算法は、理論計算と簡単な水槽試験を組み合わせることにより、低コストで高精度な計算を可能とするハイブリッド計算法となっています。
ハイブリッド計算法についての詳細はこちら
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ハイブリッド計算法
ハイブリッド計算法
さらに、海の10モード指標の計算法の精度については、平成20年度から行っている実船計測データの解析により、検証を行っています。
実船計測についての詳細はこちら
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実船計測
実船計測による検証