システム安全技術研究グループ

SYSTEM ENGINEERING AND SAFETY TECHNOLOGY RESEARCH GROUP

我が国における核燃料サイクルにおいては、放射性物質の海上輸送は重要な役割を果たしています。
近年では、輸送物の多様化とともに、輸送量が増加する傾向にあり、益々の輸送安全・保安の確保が求められています。システム安全技術研究グループでは、放射性物質の海上輸送の安全及び保安を確保するため、放射線遮蔽評価技術、放射線計測技術、リスク評価・保安評価技術及び環境影響評価技術等の研究を実施しており、核燃料物質輸送容器及び運搬船の安全審査、規則改正及び国際安全基準に係る技術支援や新たな技術の提供を行い、海事行政に貢献しています。





我が国の核燃料サイクル及び輸送の概念図




我が国の核燃料サイクル及び輸送の概念図

最近は、リスクベースの安全性評価手法研究に重点をおいて取り組んでおり、これらの研究で得られた知見を、放射性物質運搬船のみならず船舶のリスク評価全般に反映させること目標に研究を進めています。






主な研究課題

・ 海域における放射性物質の濃度分布調査および海底土中の放射性物質濃度の推定手法

東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故により、大気と海洋に放射性物質が放出されました。漁業に対する影響や海域の環境保全、環境動態の把握のためには、面的に、また、中長期的に海域における放射性物質の分布状況を把握することが必要です。当所は原子力規制庁事業等により、海底土の放射能濃度の面的なマッピングを東京大学と共同で実施するとともに、海洋拡散シミュレーションにより海底土中の放射性物質濃度の経時変化の推定手法の研究を行っています。


・ 放射性物質輸送容器のモンテカルロ法による遮蔽安全評価手法の高度化に関する研究

・ 放射性物質の海上輸送時の事故時環境影響評価システムに関する研究

・ 放射性輸送物輸送に係るリスク評価手法に関する研究

・ リスクベース設計支援ツールの開発(火災、退避、化学物質の拡散シミュレーション)




研究施設

遮蔽実験室

遮蔽実験室では、高性能中性子遮蔽材として用いられているレジン、蛇紋岩コンクリート、硼酸水等の遮蔽性能、使用済燃料輸送/貯蔵容器(キャスク)モデルの遮蔽性能、また、(秋田大学との共研内容)を、カルフォルニウム-252という中性子線源やコバルト-60というガンマ線源を用いた実験を行っています。この実験結果には中性子および一次ガンマ線ばかりでなく、熱中性子から発生する二次ガンマ線も含まれており、連続エネルギーモンテカルロコードMCNPを用いた詳細な解析を行い、遮蔽性能評価の高度化や標準化を図っています。

輸送容器模型