船の救命設備 〜救命胴衣〜
船の救命設備
 障害者や高齢者の方々は,現在の船で使われている救命設備をうまく利用できるのでしょうか。
 救命設備には,救命いかだなどの船側の設備と避難される方が身につける救命胴衣といった装備品の大きく2種類があります。
救命胴衣の種類
 船では,様々な救命胴衣が使われています。ひもを引くことで圧縮空気が封入される膨脹式や内部が浮力材で作られている固型式などがあります。

気体封入式救命胴衣
固型式救命胴衣 膨脹式救命胴衣 ハイブリッド式救命胴衣
*この画像は国土交通省海事局により制作・監修された「ライフジャケットの着用推進に向けて」の一部を抜粋しています。
救命胴衣の着用
 形式によって異なりますが,救命胴衣の使用方法は,基本的にファスナやひもで体に密着させるように着用し,水中へ飛び込み,ノズルに息を吹き込むなどして膨らみを調整します。
 障害者や高齢者の方々が,このような操作を迅速に行うのはかなり難しいと思われます。万一のときに備えて,船の救命設備のバリアフリー化が必要不可欠であると考えています。
MOVIEいくつかの形式の救命胴衣を着用しているビデオ(MPEG1)を紹介しています。

@膨脹式救命胴衣の着用(6.6MB)
 膨脹式救命胴衣は,ベルトで体に密着させ,ひもを引くことで圧縮空気が入り膨脹します。膨脹した後,ノズルに息を吹き込み膨らみを調整します。
A固型式救命胴衣の着用(2.3MB)
 固型式救命胴衣は,前のファスナを閉め,左右のベルトを締めて体に密着させて着用します。



B膨脹式救命胴衣(4.5MB)
 ひもを引いて救命胴衣を膨脹させてから,片手で鼻をおさえ,もう片方の手で救命胴衣をしっかりとおさえて足から水中に飛び込みます。
Cベルト型救命胴衣(6.2MB)
 救命胴衣がベルトで体にしっかりと密着させ,水中に飛び込みます。水中に入ると自動で膨脹します。救命胴衣を着用したまま泳ぐことができます。
D子供用自動膨脹式救命胴衣(6.8MB)
 救命胴衣がベルトで体にしっかりと密着していることを確認し,水中に飛び込みます。水中に入ると自動で膨脹します。
*このビデオは国土交通省海事局により制作・監修された「ライフジャケットの着用推進に向けて」の一部を抜粋しています。
船からの脱出
 ビルやマンションなどの陸上施設と同様,大型旅客船からの脱出にはシュータが使われます。甲板に設置されたシュータに体をもぐらせ,らせん状のシュータ内を落下し,救命いかだに乗り移ります。障害者や高齢者の方々は,乗務員の補助を受けながら脱出することになりますが,安全かつ迅速な脱出が可能なのでしょうか。障害者や高齢者の方々を含めた非常時対応は重要な研究課題です。
MOVIE船からの脱出(MPEG1,7.3MB)
@シュータの投下 Aシュータでの脱出
Bシュータから救命いかだへ C救命いかだで安全な海域へ
*本ビデオ並びに画像は日本造船研究協会により制作された「実船退船試験 〜より安全なシステムを目指して〜」の一部を抜粋しています。
 (社)日本船舶品質管理協会「移動制約者の救命設備に関する調査研究委員会」では、高齢者や障害者などの移動に制約のある方々(移動制約者と呼びます)が、万が一,海上で避難・脱出する事態になったときに,安全かつ迅速に避難・脱出できるように,船の救命設備について調査・検討をおこなっています。
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