車いす固定装置について

2001年6月 平田宏一

はじめに

 船内で車いすを使用する場合,陸上と同じように,自由に移動できるに越したことはありません。しかし,船の揺れが大きくなった場合,車いすを床面に固定する必要があります。本研究では,路線バスや福祉車両用に市販されている2種類の車いす固定装置を購入し,それらの旅客船への適用性について検討しました。

手動式固定装置

 手動式固定装置(オーテックエルコ社,ワンタッチ・ロック)は,床下に埋め込む形式で,マイクロバスやワンボックスカーに取り付けることができる固定装置です。車いすのフレームにフックを掛け,固定レバーの操作によりベルトを引っぱって固定します。適切に操作されていれば,車いすは床面にしっかりと固定されます。

手動式固定装置
電動式固定装置

 電動式固定装置(オーテックエルコ社,電動チェアロック)は,路線バス用に開発された固定装置です。固定装置に車いすの後輪を入れ,手元のスイッチを操作することで簡単に車いすの固定・開放ができます。スイッチは車いす使用者の手元に配置されるため,車いす使用者自身が固定装置の操作を行うことができます。また,片側の後輪だけが固定されるため,手動式固定装置ほど,強固には固定されませんが,動揺する旅客船でも十分に使用できると考えられます。

電動式固定装置
まとめ

 陸上で操作したところでは,これらの車いす固定装置を船内で使用できると考えられました。ただし,旅客船は,路線バスとは異なり,乗船している時間が長く,固定装置を操作する人(乗組員や介助者)が近くにいるかどうかわからないのが実情です。そのため,車いす使用者自身が固定装置を操作できることが望ましいと考えられますので,以上の2種類では電動式固定装置が旅客船に適していると考えられます。
関連リンク
オーテックエルコ社:車いす固定装置の他にも,福祉車両や改造部品の開発等をしています。
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