ワンチップマイクロコンピュータを使った実験装置
第4章 マイクロコンピュータを使った実験装置例

4.15 魚ロボット用コントローラ
〜A/D変換機能でR/C送信機を操作する〜(AVR)



はじめに

 AVRマイクロコンピュータには,A/D変換機能を搭載しているチップがあります。以下,AT90 S8535を用いた魚ロボット用コントローラを紹介します。
 4.7節でも魚ロボットを動かすためのコントローラを紹介しました。以下で紹介するた魚ロボット用コントローラが4.7節のコントローラと異なる点は,AVRのA/D変換機能を利用して非常にスムーズなコントロールができることです。



試作した魚ロボットコントローラ

 模型魚ロボットPPF-09を遠隔操作するために,R/C送信機の背面にマイコン回路を取り付けました。A/D変換機能を搭載しているAT90 S8535を使用します。使用したR/C送信機は,フタバ製T4VF SKYSPORT 4です。これは,2台の送信機を専用ケーブルで接続でき,一方の送信機で操縦し,もう一方で送信する機能(トレーナー機能)があります。この機能を利用し,操縦側の送信機の信号をAVRで出力します。AVRの入力はは,送信機スティックの可変抵抗に接続し,その電圧を測定することで出力信号を変化させます。これにより,一般のラジコン飛行機やラジコン自動車と同じように,魚ロボットをアナログ操作ができます。


図1 R/C送信機(表面)


図2 R/C送信機(背面)



マイコン回路

 AT90 S8535は,40本のピンを持つ,やや大きめなマイコンですが,配線はそれほど複雑ではありません。デジタル電源,アナログ電源,リセット回路,クロック(セラロック)の他,アナログ入力端子が4本,R/C送信機への出力端子(トレーナ機能を使用)はわずか1本です。デジタル電源とアナログ電源とは別電源(三端子レギュレータ)を使用しています。
 本魚ロボットコントローラの基本動作は,R/C送信機のスティック(可変抵抗)の電圧を読み取り,それに見合ったパルス信号を出力することです。



プログラム

 プログラム作成にはBASCOM-AVR(BASICコンパイラ)を使用しました。BASCOM-AVRでアナログ信号を読み取ることはそれほど難しくありません。しかし,液晶ディスプレイなどの外部出力装置をほとんど取り付けていないため,最初に,A/D変換の動作あるいはプログラムの動作が適切であるのかを調べるのは簡単ではありません。そのため,いくつかの動作確認用プログラムを作成しました。
 さらに,模型魚ロボットPPF-09用プログラムを作成し,R/C送信機を操作するためのパルス信号を入念に調整しました。

PPF09H.BAS: 動作確認用プログラム
PPF09L.BAS: 出力信号確認を含めたプログラム
PPF09M.BAS: 模型魚ロボットPPF-09用プログラム


おわりに

 マイクロコンピュータのA/D変換機能を使いこなせると,色々なことができます。例えば,以上に述べたような,アナログ量からデジタル信号を作り出す操作や制御ができます。また,ラジコンボートなどにR/C送信機を搭載することで,無線によるデータ転送ができます。さらに,アナログ測定器の利用がとても安価に,しかも手軽にできるようになります。

「模型魚ロボットPPF-09」のページ

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