等温モデルは,膨脹空間内および圧縮空間内の作動ガスが等温変化を行うと仮定した解析法です。各空間に一定の温度を設定することで,作動ガスの流れや伝熱を考えなくてすみ,比較的簡単にガス圧力変化の計算ができます。
作動ガスの熱変化が理想的すぎるため,熱効率や伝熱性能を解析する場合には,あまり適していないと考えられます。
理想的な等温モデルでは,膨脹空間内作動ガスの仕事量が作動ガスを加熱するための全入熱量に相当するため,高い熱効率が求まります(他の熱損失を含めなければカルノーサイクルの効率に一致します)。しかし,ヒータにおける熱交換だけでは作動空間を等温に保つことができないと考え,膨脹空間のシリンダ壁からの伝熱によって作動ガスの等温変化を保つと仮定すると,全入熱量はシリンダ壁からの交換熱量分だけ増加し,熱効率は低下します。 |

等温モデルの概念図 |