English300W級低温度差スターリングエンジンはディスプレーサピストン、パワーピストン及び熱交換器等により構成されるγ形スターリングエンジンです。ディスプレーサピストンは軽量化のためにウレタンフォーム製とし、パワーピストンはアルミニウム合金製としています。パワーピストンの駆動にはスコッチヨーク機構を用い、ピストンリングに掛かるサイドスラストを低減するとともに、エンジンの小型化に貢献しています。熱交換器に関しては、上から、加熱器、再生器、冷却器をディスプレーサシリンダの周囲を囲むように配置しています。加熱器及び冷却器は熱源として、温泉、プラント等の温排水等を想定しているため、フィンチューブを用いた直交流形の熱交換器を用い、再生器には金網積層式となっています。エンジン内とバッファ空間のシールには一方向性ピストンリング及び一方向性軸シールが用いられ、エンジン内の最低圧力をバッファ圧力付近まで高めることができ、これによりエンジンの出力を向上させることが可能になっています。またこのエンジンでは、駆動機構部にシェルをかぶせ密閉し、バッファ圧力を付加することが可能となっています。
| Engine type | Gamma type | |
|---|---|---|
| Power piston | Bore | 400mm |
| Stroke | 100, 150, 200mm | |
| Material | Alminium | |
| Drive Mechanism | Sckoch Yoke | |
| Displacer Piston | Bore | 800mm |
| Stroke | 80mm | |
| Material | Urethane Form | |
| Drive Mechanism | Simple Crank | |
| Compression Ratio | 1.271 | |
スターリングエンジンは外燃機関であるため、外部からの熱の授受はすべて熱交換器を介して行われます。このため、エンジンの性能は熱交換器の性能に大きく依存します。特に低温度差スターリングエンジンでは、熱源温度が低いため、より高性能の熱交換器を用いる必要があります。300W級低温度差スターリングエンジンは熱源として、温泉、プラント等の温排水等を想定しているため、加熱器及び冷却器はフィンチューブを用いた直交流形の熱交換器を用い、再生器は金網積層式となっています。これらの熱交換器は、下から、加熱器、再生器、冷却器と、ディスプレーサシリンダの周囲を囲むように配置されています。各熱交換器の仕様は以下のようになっています。
| Heater | Volume | 14866.3 cc |
|---|---|---|
| Type | Fin Tube | |
| Material | Copper | |
| Number of Tubes | 8 | |
| Pitch of Fin | 3.2 mm | |
| Cooler | Volume | 14866.3 cc |
| Type | Fin Tube | |
| Material | Copper | |
| Number of Tubes | 8 | |
| Pitch of Fin | 3.2 mm | |
| Regenerator | Volume | 2424.6 cc |
| Type | Wire Matrix Laminated | |
| Material | Brass Wire Cloth | |
| Mesh | 50 |
低温度差スターリングエンジンの性能の向上は、いかにして機械損失を減少させるかにかかっているといえます。特にピストンリングの摩擦は機械損失の中で大きな要素を占めています。ピストンリングの摩擦を減少させるにはシリンダにかかるサイドスラスト(シリンダの円周方向にかかる力)を減少させる必要がありますが、普通の単クランク機構を用いると、とても長いコネクティングロッドが必要となります。300W級低温度差スターリングエンジンでは、このピストンリングの摩擦を減らすために、パワーピストンの駆動に独自のスコッチヨーク機構を用いています。この機構はL形のヨークに直角にスライドベアリングを配置する構造となっています。この機構を用いることでパワーピストンの動きは正弦的な直線運動となり、サイドスラストが大きく低減され、エンジンの機械損失を大幅に減少させています。
300W級低温度差スターリングエンジンでは、用いられるパワーピストンのボアが400mmと非常に大きく、このピストンが200mmストロークします。しかし、このピストンのスカート部は60mm程度と非常に短いものです。これはパワーピストンの駆動機構にスコッチヨーク機構を用いているため、ピストン自体の首振りが元々無いため、この形状を採ることが可能となっています。
300W級低温度差スターリングエンジンに用いられるディスプレーサピストンは、ボアが800mm高さが約350mmという大きなものです。しかし、材質にウレタンフォームを用いることで実際の重量は非常に軽量化されています。このディスプレーサピストンは、単クランク機構により80mmのストロークでシリンダ内を往復します。ディスプレーサピストンの重要な役割は、エンジンの高温空間と低温空間を断熱し、熱交換器に作動ガスを効率よく通過させることです。このため300W級低温度差スターリングエンジンのディスプレーサピストンには簡易的なピストンリングが設置され、熱交換器を通過せずに一方の空間から一方の空間へと漏れる作動ガスを減少させています。また材質のウレタンフォームも両空間の断熱に大きく貢献しています。
300W級低温度差スターリングエンジンの性能
300W級低温度差スターリングエンジン
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