スターリングエンジンの特徴と問題点

 スターリングエンジンには,高熱効率性,低公害性,燃料の多様性などの優れた特徴があります。一方,高効率化に伴う製作コストの増大など様々な問題もあります。
 以下,スターリングエンジンを冷静に分析し,辛口の批評をしてみます。逆に言えば,以下で述べるような問題点を克服できれば,スターリングエンジンはすぐにでも様々な用途で使用されるものと考えられます。

スターリングエンジンの優れた特徴?

一般に言われているスターリングエンジンの特徴

 上述の通り,スターリングエンジンは様々な優れた特徴を持っていると言われています。しかし,それらの優れた特徴が完全に活かされているとは言えないのが実情です。

  利 点 問題点(実際) 備 考
高熱効率性 理論熱効率がカルノーサイクルの熱効率に等しい。 理論効率が高いだけで,実際のシステム効率は内燃機関と同等程度。 効率は製造コスト(ヒータの材質等)に関係する。
低公害性 連続燃焼であるため,燃焼ガスを使っても排気ガスがクリーン。 熱源の種類による。燃料を燃やす場合,CO2排出量は同じ。  
低騒音性 爆発がないので静粛な運転が可能。 内燃機関も防音設備により静粛な運転が可能。  
熱源の多様性 化石燃料の他,太陽熱や温泉熱等も利用できる。 低温熱源を使用すると熱効率が低下する。  
重量(比出力)   エンジン全体を圧力容器とするため重くなる。  
製造コスト   内燃機関と比べて高い。 主として溶接構造を必要とする熱交換器が大量生産に適していない。

スターリングエンジンの高出力化・高効率化と問題点

 スターリングエンジンを高出力化・高効率化する方法として,作動ガス圧力を上げること,作動ガスの温度差を大きくすること,機械損失を減らすことなどがあげられます。しかし,それに伴い,様々な問題も生じます。

方 法 概 要 問題点 備 考
高圧ガスの封入 作動ガス圧力にほぼ比例して出力が増加する。 ●強度の関係から,高圧にするほど重量が増す。
●製造コストが上がる。
●高圧ガス取締法による制限を受ける(?)。
 
温度差の増大 主として,ヒータ壁温を上昇させる。 ●ヒータの耐熱性を高めるため,高級なヒータ材料(インコネル等)を必要とする。
●低温側ガス温度を下げるのは極めて難しい。
 
機械損失の低減 機構部での損失を低減する。発電用エンジンではハーメティック化等が有効である。 ●小型エンジンの機械損失を減らすのは難しい。  

[Stirling Engine Dictionary]