圧力損失
一般に,再生器の挿入量(積層枚数)を増やすほど,多くの熱が蓄えられるようになる。しかし,作動ガスが再生器内を流れる際,再生器入口側と出口側との間に圧力差が生じる。この損失を圧力損失と呼び,必ずエンジンを止めようとする方向に働く。すなわち,圧力損失が増加することで,エンジン回転数並びに出力が低下する。 |
圧力損失を評価する方法は様々であるが,最も簡単にエンジン回転数に対する図示出力の実験結果から圧力損失を見ることができる(図6)。圧力損失が小さい場合,図示出力は,エンジン回転数の上昇に伴ってほぼ直線的に増加する。圧力損失はエンジン回転数上昇に伴い急激に増加するので,圧力損失が大きいエンジンではエンジン回転数の上昇に伴う図示出力の低下が目立つようになる。
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図6 エンジン回転数と図示出力
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再熱損失
再生器の挿入量が少なすぎると,熱を蓄えきれずに,ヒータからクーラ,あるいはその逆に熱が通過してしまう。そのように,再生器内を通過してしまう熱損失を再熱損失(あるいは再生器損失)と呼ぶ。再熱損失が生じると,所定の温度条件(温度差)を保つために,ヒータでのより多くの加熱量とクーラでのより多くの冷却熱量が必要となり,熱効率が低下する。なお,実際のスターリングエンジンでは,シリンダ壁や熱交換器の外壁などからも熱が流れるため(熱伝導損失),再熱損失だけの直接的な測定は難しい。 |