ハイブリッド計算法
|
![]() |
ここでは、海の10モード指標である波風中の船速低下量を正確に推定するため開発された計算法、
ハイブリッド計算法を紹介します。
|
船速低下量は、波風中を航行中の船舶にかかる力に釣り合う船速を算出し、
波風がない状態の船速との差をとって求めます。
波風中を航行する船舶にかかかる力は、風による抵抗、波による抵抗、斜航流体力、当舵力を、
波風がない状態を航行するときにかかる力に加えることで算出します。
|
![]() 船速低下量計算フローチャート
|
![]() 風洞試験結果と計算値の比較
|
波による抵抗は、簡単な水槽試験の結果を計算に取り入れる方法で求めます。
実際の海の波は、さまざまな波長、波高の波が重ね合わさったものです。 波による抵抗を求めるためには、波長や波高、波向きが一定の規則的な波から受ける抵抗(規則波中抵抗増加)をまず求め、 この抵抗と、波高との関係、さらに波長と波向きで整理した不規則な波の成分構成(波スペクトラム)により、 さまざまな波長、波高が合わさった波による抵抗(短波頂不規則波中抵抗増加)を求めます。 |
![]() 波による抵抗の計算フローチャート
|
規則波中抵抗増加の計算では、従来の計算法で考慮されていなかった水面から上の形状影響を
取り入れるため、水槽試験(海の10モード試験)を行い、この試験結果を取り入れ計算精度を高めます。
海の10モード試験についての詳細はこちら→海の10モード試験 |
![]() 規則波中抵抗増加の計算フローチャート
|
この計算法で、規則波中抵抗増加、短波頂不規則波中抵抗増加の計算を行い、実験値との比較を行いました。
船長300mコンテナ船、向波規則波の場合の結果を下図に示します。
波長船長比によらず、実験値との一致がよいことがわかります。
規則波中抵抗増加、短波頂不規則波中抵抗増加についての計算結果はこちら →波浪中抵抗増加計算結果 |
![]() 規則波中抵抗増加(300mコンテナ船、向波)
|
波や風がある実海域での船速は、実海域を航行中の船舶にかかる力(風による抵抗、波による抵抗、斜航流体力、当舵力)に
釣り合う船速を数値計算で求めて算出します。船速低下量は実海域での船速と波風がない状態の船速との差をとって求められます。
船速の計算例を下図に示します。海象が荒れてくると、風や波の影響により大きく船速が低下することが分かります。 実海域での船速、船速低下量の詳しい算出式はこちら→実海域中船速算出法 |
![]() 船速計算例(300mコンテナ船)
|
[ NMRI HOME ] |