速度影響


 速度影響は短波長での水槽試験結果から求められます。

速度影響導出フローチャート


 速度影響は試験で得られる波浪中抵抗増加の値 を用いて、以下の式から求められます。
  
  

   :試験から求められる規則波中抵抗増加
   :計算から求められる運動による抵抗増加
   :計算から求められる喫水周波数影響項

 速度影響は、以下の図に示すように実際の運航速度の範囲ではフルード数 の一次近似 で表すことができます。 ここで、は速度影響係数と呼ばれ、 速度影響をフルード数に対して 最小二乗法で近似した時の傾きとなります。

   実運航速度
    ・コンテナ船、自動車運搬船:
    ・パナマックスバルクキャリア:

コンテナ船(船長300m)


自動車運搬船(船長190m)


パナマックスバルクキャリア(船長217m)

 速度影響係数は船型や波向きにより異なります。 実用船型の模型船を用いた向波中・斜波中の水槽試験結果から、速度影響係数と ブラントネス係数の関係が得られています。

速度影響係数とブラントネス係数の関係

 上図中の実線を数式で表すと以下となります。

   

 i) かつの場合
   

 ii) またはの場合
   

 ここで、以下となります。
 
 
 :一定部の関数記号
 :傾斜部の関数記号
 :短波長向波中水槽試験から求められる速度影響係数
 :向波でのブラントネス係数


※参考文献
1) M. Tsujimoto, K. Shibata, M. Kuroda and K. Takagi: "A Practical Correction Method for Added Resistance in Waves", Journal of the Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers", Vol. 8, pp177-184, 2008.
2) 枌原直人、辻本勝、一ノ瀬康雄、南佳成、佐々木紀幸、高木健: 「斜波中における肥大船の挙動推定について」(投稿中)、 日本船舶海洋工学会論文集、第11号、2010.



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