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海洋システム研究グループ研究紹介
洋上天然ガス生産システム等の総合安全性評価技術に関する研究

近年、天然ガスはエネルギーの安定供給や地球環境保全を満たす石油代替資源として、利用拡大が期待されています。我が国では天然ガスの需要増加に対応できるように、平成25 年4 月に閣議決定された海洋基本計画において、浮体式液化天然ガス生産貯蔵積出設備(Floating LNG、以下FLNG)等の実現に向けた検討が謳われています。しかし、FLNGは過去に経験のないシステムであることから、開発推進を支援するための技術開発が急務となります。また、FLNGからLNG運搬船へのLNG(液化天然ガス)移送を考えると洋上でのオペレーションが必須となりますが、我が国におけるエネルギーの安定供給の面から考えると、今後は洋上における船舶間LNG移送に対するニーズが高まり、それに対する安全性や稼働性評価のための技術開発が重要になると考えられます。
  海洋システム研究グループでは、洋上LNG移送オペレーションに寄与できる安全性および稼働性評価システムとして、FLNGとLNG運搬船、2船を繋ぐ係船索やフェンダー、海底とFLNGを繋ぐ係留システム、天然ガスを生産するライザー等を含めた一体挙動解析が可能な洋上出荷オペレーションシミュレータの開発を行っています(図1)。また、それに関連する要素技術として、遮蔽影響を考慮した環境外力の推定法や2船間Gap内の水位上昇評価、LNG移送ホースの挙動評価に関する研究等に取り組んできました。 最近では、FLNGとLNG運搬船に搭載されるLNG貯蔵タンク内の液体の挙動(スロッシング)が、2船の動揺に及ぼす影響について検討を進めており、水槽試験を行いましたので、以下に紹介します。



図1 洋上出荷オペレーションシミュレータでのアニメーション描画

  • タンク内遊動水影響を考慮した2船体動揺評価

LNGの出荷時に横付け係船(Side-by-Side係船)されたFLNGとLNG運搬船に対する安全性評価では、2船体の動揺評価が必要となりますが、特にFLNGやLNG運搬船のように大きなLNG貯蔵タンクを有する2船を対象とする場合には、それぞれのタンク内におけるスロッシング影響を考慮することにより、2船体の動揺特性がスロッシングを考慮しない場合に比べて大きく異なることが考えられます。2船は係留索とフェンダーを介して接続されているため、その非線形な特性に加えて、2船のスロッシング影響を考慮することで船体に作用する流体力も変化する複雑な問題となります。
  当グループでは、半載状態のFLNGとLNG運搬船の縮尺模型(1/90スケール)を用いた2船体波浪中動揺試験を実施し、スロッシングが2船の動揺応答に及ぼす影響を調べました。図2~図4に水槽でのセッティングや水槽試験の様子を示します。図5にRoll(横揺れ)に関する計測結果の一例を示しますが、2船のタンク内のスロッシングを考慮した場合としない場合(タンク内の水の挙動を抑制するためにゲル化させた場合)で、低周波側で応答に大きな差が生じています。この応答の差が洋上LNG移送の稼働率に及ぼす影響が今後の検討課題となります。




図2 水槽試験でのセッティング


図3 搭載タンク(左:LNG運搬船、右:FLNG)
※ 水槽試験では、各タンクに水を半分ずつ入れて、食紅で着色した


図4 水槽試験の様子


図5 LNG運搬船の重心まわりにおける横揺れ(Roll)の応答関数