施設紹介シリーズ


レーザーレーダーによる海洋環境計測


 地球規模の大気汚染、地球温暖化、海洋汚染等の環境問題が最近注目されて きています。こうした問題を解決するためにはまず、どの程度環境が悪くなって いるのか調べる必要があります。レーザーレーダーは、ライダー( LIDAR : Light Detection and Ranging ) とも呼ばれ、レーザー光を用いて非常に広い範囲 の環境汚染物質の種類や濃度分布を調べ、映像化できる移動式の最新装置です。 広い範囲を効率良く観測できることから大気、海洋環境研究の有力な計測手法と して最近注目されています。1958年にレーザーが発明されてから数年後に超高層 の大気の観測に初めて使われて以来、大気物理および気象の分野で先駆的研究が 行われてきました。
 船舶技術研究所のライダー装置は、船の煙突からでる煙が、どのように広が るかを調べるために7年前に開発されたものです。その後、レーザーの性能アッ プとともに装置の改良を行い、またコンテナに装置一式を収納し可搬型とするこ とで、船上において、海洋の大気観測ができるようになっています。可搬型装置 は、日本で唯一のものです。
 海上での観測は、対流圏のエアロゾルを介して行います。エアロゾルは、空 中に浮遊する小さな粒子群のことで、これをトレーサ(目印)にして大気の動き や構造を調べることができます。
 現在、船から出される煙がどの程度陸上に影響を及ぼすのか、あるいは酸性 雨の原因とされる汚染物質がどのように地表近くから上昇し、海を超えて遠方ま で運ばれて行くのかを研究するために使用しています。
 また、大気に含まれる汚染物質や海上に漂う液体状の汚染物質の成分を直接 計測できるように本装置の改良計画も進めています。近い将来本装置が完成し、 世界を走る船舶に搭載可能となれば大気および海洋汚染防止に大きな威力を発揮 することが期待されます。

写真1 船舶搭載型ライダー波長532nmのレーザー光を船上から発
射し、散乱光のデータからコンピュータを用いて解析し大気の動き
を画像化することができる。


写真2 船舶からの排煙の拡散状況約1.5km離れた
船舶の煙突から海上にたなびいている煙の拡散状況
をライダーを用いて画像化したもの。幅167m、長さ
897mの6つの水平面(間隔1.5m)における煙の拡散
状況の観測結果。