施設紹介シリーズ

推進性能部 大型空洞試験水槽

(キャビテーションタンネル)

 
 空気の薄い山の上では、100℃より低い温度で水が沸騰します。沸騰は、そ の温度での水蒸気の圧力が周囲の圧力以下になるとおこります。一方、物体、例 えばプロペラなど、が水中を高速で回転すると、これらの形にもよりますが、速 力の上昇に従って表面での圧力が下がります。どんどん回転が増して圧力が下が れば、ついに常温(例えば、15℃)でも水が沸騰し、物体表面が蒸気の泡で覆わ れます。この現象がキャビテーションで、約100年前に英国でプロペラに発生す ることが発見されました。キャビテーションは、船体の振動・騒音や、プロペラ の破損・性能低下などの種々の悪い作用をもたらします。 
 キャビテーションタンネルは長さ16m、高さ10mで、四角のドーナツ状の胴の 中を水がポンプにより回流するようになっています。1974年に建設されたこの水 槽では、胴の中を水で一杯に満たしているため、水槽内の圧力を真空近くまで下 げることが出来るので、プロペラや水中翼にキャビテーションを発生させ、研究 することができます。また、プロペラに代表される各種プロパルサの性能計測や 、物体の周りの流れの観察などが行えます。 
 実験を行う計測部は2種類で、取り替え可能です。第1計測部は、長さ3mで 、直径0.75mの円形断面であり、プロペラ単独での試験の他、水中翼等について の実験に用いられます。第2計測部は、長さ8mで幅2m、高さ0.88mの長方形断面 で、模型船をこの計測部に取り付けて、船尾振動、水中騒音の計測を行うことが でき、船のまわりの3次元流れが正確にシミュレーションできるので、精度の高 い実験ができます。 
 この水槽は超高速船用プロパルサとして期待されているスーパーキャビテー ティング・プロペラの開発や性能評価、タンカー、コンテナ船、高速船艇の船尾 振動や水中騒音の予測等でその性能をいかんなく発揮しています。新しい時代の 要請に応え、現在の高い実験技術レベルに基づく多くの実験に活用し、先導的研 究を担っていくことが期待されています。

写真1 大型空洞試験水槽(第1計測部)と運転台

写真2 レジャーボートのプロペラに生じたキャビテーション