プロジェクト研究紹介 Project research


大型プラントのさらなる安全性の向上をめざして
― 次世代インタフェイスの開発 ―
(システム技術部)

 時代とともに、機械システムは大型・複雑化し、それを安全に運転していく技術の重要性も大きくなっています。今回は、大型プラントの安全性をより高めるための研究を進めている、システム技術部沼野室長を中心とするグループにお話を聞きました。




(写真1) 前列左から 福戸主任研究官、 宮崎主任研究官、 沼野室長、 高橋研究官
後列左から 田中主任研究官、 三友主任研究官、 伊藤部長、 松倉研究官、 丹羽研究官


Q:研究はどんな体制で進めているのですか。

A:科学技術庁原子力基盤技術研究の「人間の知的活動を支援する分野」の研究の一環として、理化学研究所、電子技術総合研究所 等と協力して実施しています。


Q:代表的な大型プラントとして、原子力プラントをとりあげているわけですね。

A:ええ。当所には操船システムの研究で積み重ねてきたノウハウがあり、それがうまく生かせるというのが研究を始めたきっかけです。船と原子力プラントというのは、よく似た面があります。どちらも巨大システムであり、それを複数の人間が協力して安全に運転していくということです。



(写真2)プラント模型


Q:課題となる点も共通するものがあるのでしょうか。

A:そうですね。例えば船は舵をきっても急には曲がれません。それと同じように原子力プラントの場合も加えた制御に対してすぐには応答が現れません。これは安全面で非常に注意を要する点です。ここに操船システムのノウハウが十分に活用することができるのです。


Q:研究内容について教えてください。

A:第一に、プラントと運転員間のインターフェイス(情報伝達システム)の研究です。これには、プラントの様子をわかりやすく運転員に伝える機械→人間のインターフェイスと、運転員が的確な制御を行うための人間→機械のインターフェイスの2種類があります。
第二に、運転員同士のコミュニケーションを支援するためのシステムの研究があります。


Q:インターフェイスについては、現在プラントで使われているものに比べ、どのような長所があるのでしょうか。

A:今研究しているシステムが実現すると、運転員は制御室にいながら、あたかもプラントの現場にいるような感覚で状況を把握することができます。プラントに想定外の事故が生じて、運転員がすばやく判断・対処しなければならないような時には、このような形での情報入手が非常に効果的です。


Q:現場にいるような感覚というのは、どのように実現されるのでしょうか。

A:まず、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)という頭に装着する装置(写真3)があります。バーチャルリアリティ(VR)技術によって、眼鏡のように見えるディスプレイ部分に、プラントの様子が3次元的に映し出されます。現場を歩き回るようにして、プラント各部の温度、圧力などの状態をチェックできます。


(写真3)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と感覚フィードバック装置


Q:写真3でレバーのようなものを操作していますが、これは何ですか。

A:感覚フィードバック装置と呼んでいる制御装置です。加えた制御によってプラントが実際どのように変化したかが、レバーに反力、振動などの形で現れます。自分の行った操作の結果が体感できるため、誤操作等の防止につながります。



(写真4)バーチャルリアリテによるプラント状態表示


Q:人間同士のコミュニケーションはどのように支援するのでしょうか。

A:例えば、VR空間の中に、各人がポインター(マーク)を表示させられるようにしています。自分が注目している部分
を、他の人に伝えるためです。言葉での伝達では時間がかかり、思わぬ誤解も生じるからです。日常の空間なら指さして示せばすむことですが、VR空間での互いの意思伝達にはこうした様々な工夫が必要です。



(写真5)3次元VR表示と大画面表示等を組合せた運転作業のイメージ図


Q:今日見せていただいたシステムは、今後どのように活用されるのですか。

A:このシステムの成果は、原子力プラントだけでなく、今後ますます複雑化するあらゆる大型システムの安全な運転に役立てられると思います。船舶においても様々な自動化が導入されてきましたから、この成果が大いに活用されるものと考えられます。



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