プロジェクト紹介 Project research

革新的な物流に挑む。
−物流の構造分析と新システム検討に必要な物流情報システムに関する研究−

今回は、革新的な物流を実現するために、その骨格となる「物流情報解析システム」を構築しようと研究に取り組んでいる、システム技術部システム解析室の勝原室長を中心としたグループにお話をうかがいました。



写真1 前列左より、 李運輸技術研究員、 伊藤システム技術部長、 勝原室長、 岡崎研究官
後列左から、 山之内主任研究官、 有村主任研究官、 古川重点研究協力員、 不破推進性能部長、
丹羽研究官



Q1:この研究は、何を目指して行っているのですか?

A1:物流に係るエネルギー問題、環境問題、合理化等に対応していくために物流システムの高度化を目指そうとしています。それには、複雑な物流全体を把握することと、新物流システムの提案・評価を行うことが大切です。
 複雑な物流は、図1に示すように大規模な世界システムに組みこまれ、変数が無数あるため人間の能力だけでは十分に把握出来ないという問題があります。 
私たちの研究が進めば、物流拠点の統廃合、新航路の開設、新輸送技術の導入などという新物流システムをシミュレーションで再現して、その結果として、各企業の会計はどうなるか、利用者の便益はよくなるか、地球温暖化ガスやNOx・SOxの排出量はどうなるか、労働力はどれだけ必要か、生産性はどうかなどを検証することができます。



図1 総合物流形態


Q2:この研究のコンセプトは何ですか?

A2:ナレッジマネージメント(知識管理)をコンセプトとしています。
そのため、物流情報解析システム(Transportation Data and Analysis System)、略称TDASというコンピュータシステムによって系統だて複雑系の情報整理をすることが出来ます。
図2に示すように、本システムを利用するユーザーは物流研究を始めるとき、このシステムの物流情報を取り出して活用します。研究が終わるとその成果をこのシステムに登録します。そうすると本システムを利用して行った研究の経験が増せば増すほど本システム自体の知識は増えます。つまりは、システムの質的水準をあげることも出来ます。私たちは、旧来の研究手法を脱皮して、情報化時代に対応した情報技術によってグローバルな展開をする複雑な経済社会としての物流を把握しようと考えています。


図2 物流情報解析システム


Q3:どのような手法で物流を把握するのですか?

A3:私たちが提案している物流情報解析システム(TDAS)では、図3に示したような莫大な物流情報とそれを解析するための各種手法があります。
本システムでは、それらの情報をいままで培われたノウハウを利用して効率的に各種解析手法で分析し、物流全体を把握することができます。また、本システムでは、情報と解析手法がノウハウによって一体的に取り扱われているため低レベルの解析処理を容易にできるおかげで、その上の高度な研究レベルに注意力を注げるようになっています。

「物流情報」 「各種解析手法」
  1. マクロ経済データ
    • 国際経済  国連統計・WorldTable・OECDPublication
    • マクロ経済 国民経済計算・産業関連表・物価統計・財政統計・外国貿易概況
    • 社会     人口統計・労働統計...
  2. ミクロ経済データ
    • 産業毎ミクロ経済 各産業統計・石油統計・商業統計・工業統計・流通統計
    • 地域経済  県民経済計算・地域間産業連関表・各県産業連関表・各県統計年鑑
  3. 運輸データ
    • 運輸・建設省 港湾統計・運輸経済統計・総流動・鉄道統計・自動車統計・航空統計
    • 民間データ  純流動・運賃倉庫料金・荷主名簿・EDI
  4. 交通機関データ
    • 船舶:船舶統計・船舶明細書・日本の港湾・全国フェリー旅客ガイド・定期便ガイド
    • 自動車:自動車諸元・高速道路便覧・自動車産ハンドブック・道路時刻表
    • 鉄道 
    • 航空
  1. 純流動データの分析
    • 30年間のOD表の整理
    • 物流OD・トン/トンキロなどの物流関連指標の算出
    • 輸送機関利用状況...
  2. 将来予測モデル
    • 地域経済指標の収集及び調査
    • 日本全国物流情報
  3. 環境問題の評価
    • CO2発生量の算定
    • エネルギー消費原単位及び消費関数
    • LCA評価
  4. ネットワークモデル
    • 分岐ツール、犠牲量モデル
  5. シミュレータ
    • 品目毎の流通シミュレーション
  6. 地理情報システム(GIS)による物流情報の可視化
    • 圏域の表示、ネットワーク地図
図3 TDASの格納情報の一例


Q4:物流情報解析システムはどのように構成されているのですか?

A4:現在、ソフトウェアを製作している最中です。イメージとしては、パソコン上に図4に示すようなメインメニューを表示するデータベースを考えています。



図4 物流情報解析システムのイメージ図


Q5:今後のこの研究をどのように発展させていくのですか?

A5:目標としては、総合物流シミュレーションを構築し、日本の物流に関する運輸政策や国土計画の立案に対する検証や分かり易い説明が出来るような研究を行っていきます。また、これから世の中がますます情報化社会になり、社会がインテリジェントになることに重点が移っていくので、それに対応して社会・経済・人間に関するアルゴリズムを構築していきます。
そして、TDASというシステム自体の高度化を行っていきたいと考えています。



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