プロジェクト紹介 ITメガフロート研究プロジェクトチーム

 海上空港からさらに情報バックアップセンターへ、メガフロート1を活用した新たなプロジェクト「メガフロート情報基地機能実証実験」が平成13年度のプロジェクト(国の総事業費27.72億円)として、国土交通省、総務省、経済産業省の連携のもとにスタートしました。
 海技研は、国土交通省海事局より本プロジェクトの主要部分(約19億円)を受託し、ITメガフロート研究プロジェクトチームを中心に研究を実施しているところです。 そこで、プロジェクトチームリーダーの
大松に、当所の取組状況について話を聞きました。

Q:なぜ、メガフロートが情報バックアップセンターなのですか?

A:メガフロートは、海の上に浮いて地面に接していないために地震の影響をうけないこと(免震性)、災害時に停電が発生しても、メガフロートの広大な空間に非常用発電装置などを装備することで、メガフロートに設置された施設に継続的な電力供給をすることができるなど災害に強い構造物という特徴をもっています。このように災害に強いメガフロートは、防災基地をはじめとして、さまざまな用途が考えられています。
 その1つが図1に示すような情報バックアップセンターです。情報バックアップセンターは、インターネットに代表されるような情報化が急激に進展する中で、情報化社会を支える重要なインフラの1つとして整備が求められています。しかしながら、大都市圏では情報バックアップセンターの施設をつくる用地の確保が困難であること、また、施設に対して、耐震設計、安定した給電システムの装備など、高性能な機能が求められていることなどの理由から、整備には膨大なコストがかかります。
  免震性を有するメガフロートを利用すれば塩害などの海洋環境対策、台風などの厳しい海象での波によるメガフロートの動揺対策などの課題はあるものの、内部空間などを利用して、低コストで理想的な情報バックアップセンターを整備することができると考えています。
  
Q:どのような研究を行うのでしょうか?

A:今回のプロジェクトでは,情報バックアップセンター内のサーバー等のコンピューター機器を、どのような気象・海象条件下でもメガフロート上で瞬断なく稼動させるために海洋環境影響やメガフロートの動揺影響などを最小化する技術開発を行っています。
具体的には、国土交通省は、メガフロート本体の機能を向上させるための技術開発(動揺制御技術の開発メガフロート全体の健全性を診断できるシステムの開発など)を行っています。これらの技術は、ある意味で、どのような気象・海象でも運用可能な「全天候型メガフロート」を実現するための技術開発とも言えるでしょう。また、総務省、経済産業省は、塩害や荒天時のメガフロートの動揺に対する情報バックアップセンターの機能検証などを実証実験を通じて実施する予定となっています。

Q:海技研はどのような研究を行うのでしょうか?

A:海技研は、@波エネルギー吸収装置による動揺制御技術の開発、Aメガフロート全体の健全性を診断できる長期健全性予測診断システムの開発を行っています。具体的な内容は以下の通りです。

@メガフロートは、わずかではありますが、波の中で波打ったような動揺(図2(a))をします。波エネルギー吸収装置はこれを低減させるためのものであり、メガフロートの沖側側面に1.5mのスリット付き鋼板を取り付け、それによってメガフロートに寄せてくる波のエネルギーを吸収・散逸させて、メガフロートの動揺を低減させる方式(図2(b))を検討しています。既に水槽実験レベルでの検討が終了して、実験結果によると波エネルギー吸収装置がない場合に比べ約30%の動揺低減効果があることが判明しています。

A人間ドックでは、いろいろなセンサーで体のデータをとり、これを分析することで人の健康状態を調べますね。長期健全性予測診断システムは、この考えをメガフロートの検査に応用したものです。実際には、メガフロートに取り付けたセンサーによって取得されたデータと数値シミュレーションによる予測結果を分析し、その結果に基づいて将来も含めたメガフロートの健全性を定量的に予測診断するシステムです。これにより、ダメージに至りそうな箇所を未然にみつけることができるようになります。さらに、適切な補修を行えば、メガフロートの健全性低下を予防できることになり、メガフロートの信頼性の高い稼動を保障することができるようになります。

Q:今後の予定について教えてください。

A:海技研は、2つの研究に加えて、国土交通省海事局のご指導のもと、横須賀市のご協力をえて実証実験に向けて準備を進めていて現在、その一環として実証浮体を製作しています。
 図3は実証実験のイメージ図です。実証浮体には、検討している波エネルギー吸収装置の装備、長期健全性予測診断システムの搭載を予定しており、実際にその性能を実証いたします。   以上、海技研として、本受託研究の実施を通じて、わが国のメガフロートの技術開発に貢献することで、先端的、創造的なメガフロート研究のCenter of Excellence(中核機関)としての地位を築いていきたいと考えています。



                           



図3  実証実験のイメージ図


[ BACK ][ NMRI HOME ]
このページに関するお問い合わせは広報・国際係info@nmri.go.jpまでお願いします