講義ノート:もの作りのための機械設計工学
第2章 機械の強度と材料
【問2.2】安全率について説明しなさい。また,機械設計において安全率が必要な理由を述べなさい。
この問は,平成14年度の期末試験として作成したものである。本期末試験は,教科書等の持ち込みを許可しているため,教科書があれば簡単に解けるサービス問題である。
【回答例】
安全率は,基準の強さおよび実際の部材に作用する応力を決定する際の様々な不確定要因を補償するものである。機械設計において,設計応力の不正確さや使用部材のばらつきを考慮して,安全率を設定する必要がある。ただし,安全率が低すぎると機械が破損するなどという危険性が増し,安全率が高すぎると機械の重量や製作コストが増すので好ましくない。
【適切でない回答の例】
以下の回答は,安全率について適切でない(誤っている)回答である。
●機械は安全第一に設計する必要があり,安全率を一定の値まで上げる必要がある。
●安全率が高いほど許容応力も高く,事故による破損が少なくなる。
●なぜ安全率が必要かというと,作業が安全に進みやすいからである。
●安全率は,機械が強度以上の荷重をかけられても,すぐに壊れないようにするために必要である。
●安全率がわかっていると,危険性が減る。
●安全率なしで設計すると,荷重が許容応力よりも大きくなり,危険である。
●安全率を決めなければ,部材の許容応力がわからない。
●安全率がないと,機械を使用したときの安全性がわからないので設計できない。
●安全率とは,機械が壊れないぎりぎりまでの許容範囲である。
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