講義ノート:もの作りのための機械設計工学
第5章 軸と軸受の設計

簡易自動車の強度計算


【例題5.1】
(1) 右図に示すような簡易自動車をイメージして,車軸にかかる曲げモーメントM(Nm)を計算し,軸の直径d(m)を求めなさい。軸の材料はSUS304(許容曲げ応力σa=184 N/mm2)とする。

(2) 簡易自動車が傾斜角度α=20°の坂道を登る場合,車軸にかかるトルクTq(Nm)を計算し,軸の直径d(m)を求めなさい。許容せん断応力τa=147 N/mm2,車輪の直径D=0.6 mとする。


図 簡易自動車の強度計算


【回答】
(1) 車軸の中心Oを基準として,左側のモーメントMを計算する(下図参照)。

式(5.9)より

よって,軸径は16.3 mm以上であればよいので,17 mmまたは20 mm程度が妥当である。

(2) 傾斜角度α=20°の坂道を登る場合に必要な力F'(N)は

となる(下図参照)。車軸にかかるトルクTq(Nm)は,車輪外周に力F'(N)が作用すると考えればよいので,

式(5.4)より

よって,軸のねじり荷重だけを考えた場合,軸径は14.1 mm以上であればよいことがわかる。しかし,坂道を登る場合でも軸には曲げモーメントが働くので,(1)で求めた値より大きくしなければならない。したがって,軸径は17 mmまたは20 mm程度が妥当である。



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