講義ノート:もの作りのための機械設計工学
第6章 歯車機構の設計

6.1 歯車の種類



 図6.1に示すように,歯車は,回転体の周囲に取り付けた歯をかみ合わせて,動力や運動を伝達するために使われる。動力や運動を高効率・高精度で伝えることができるという特徴があり,様々な機械に使われている。以下,代表的な歯車形状を紹介する。


(a) 模型スターリングエンジン

(b) 模型スターリングボート

(c) 模型車いす

図6.1 歯車を利用した機械

インターネットで「歯車」を調べる
 いくつかの歯車に関連したホームページを紹介する。CADデータ,強度計算プログラムなどがあるサイトもある。
CALSMail:http://www.calsmall.ne.jp/
Gear-Net Japan:http://www.gear-net.com/index-j.html
協育歯車:http://www.kggear.co.jp/
小原歯車:http://www.khkgears.co.jp/index.html
加茂精工:http://www.kamo.co.jp/index.html
浅野歯車:http://www.asanogear.co.jp/products/



6.1.1 平歯車

 図6.2に示す平歯車は,歯車の中でも最も代表的な形式である。平歯車は,材質,歯数,寸法等,様々な形式が量産品として市販されており,通常,カタログから使用する歯車を選定する。

図6.2 平歯車
協育歯車HPより)



6.1.2 かさ歯車

 図6.3に示すかさ歯車(ベベルギヤ)は,円すい状の面に歯を取り付けた歯車であり,主に直交した2軸の間の動力伝達に使われる。

図6.3 かさ歯車
協育歯車HPより)



6.1.3 はすば歯車・はすばかさ歯車

 はすば歯車(ヘリカルギヤ)は,図6.4に示すように歯すじをつる巻き状にしたものである。通常の平歯車と比べて,歯のかみ合いが滑らかになり,騒音が少ない。ただし,軸方向にスラスト荷重が生じるため,使用時には注意する。

(a) はすば歯車
小原歯車HPより)

(b) はすばかさ歯車
協育歯車HPより)
図6.4 はすば歯車



6.1.4 ウォームギヤ

 図6.5に示すウォームギヤは,駆動する側の軸に取り付けるウォームと減速される軸に取り付けるウォームホイールで構成される。一対のウォームギヤで大きな減速比(ウォームホイールを1回転させるために要するウォームの回転数)を得られるという特徴があるが,通常の歯車と比べて摩擦損失が大きいため,適切な潤滑が必要である。また,ウォームには,軸方向の大きなスラスト荷重が生じるため,使用時には注意する。

図6.5 ウォームギヤ
協育歯車HPより)



6.1.5 その他の歯車

 その他のいくつかの歯車を紹介する。

(1) 内歯車
 図6.6に示すように円筒の内側に歯を取り付けたものを内歯車という。2軸の中心距離を短くしたい場合などに用いる。また,内歯車を利用した遊星歯車機構(図6.7)は,小型で大きな減速比が得られる機構である。


図6.6 内歯車
小原歯車HPより)


図6.7 遊星歯車機構
田宮模型製遊星ギヤーボックスセット

(2) ラック
 図6.8に示すように,直線状に歯を取り付けたものをラックという。ラックは,平歯車と組み合わせて使われ,回転運動を直線運動に変換する場合などに使われる(図6.9)。


図6.8 ラック小原歯車HPより)


図6.9 電動スライダ
オリエンタルモーターHPより)

(3) やまば歯車
 やまば歯車(図6.10)は,図6.4のはすば歯車のスラスト力を打ち消すように,2枚のはすば歯車を組み合わせたものである。


図6.10 やまば歯車
小原歯車HPより)


[ Previous ] [ Mechanical Design ] [ Next ]
[ Hirata HOME ] [ Power and Energy Engineering Division ] [ NMRI HOME ]
Contact khirata@nmri.go.jp