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第1章 とりあえず知っておきたい基礎知識

機械加工の大まかな流れ



機械加工を考える

 機械開発(もの作り)における機械加工の位置付けを考えてみる。図1に示すように,発想(設計)から始まり,組立図や部品図を作図する(製図)。そして,その部品図に基づき,機械加工を行う。その後,完成した部品を組み立てて,機械を完成させる。


図1 機械加工の位置付け
 工作機械を扱うだけが機械加工ではない。部品図を見て,加工手順を考えた後,材料や工具を準備する。必要に応じてジグ(製作を補助するための道具)を作ることもある。そして,材料を切り出して,形状を仕上げていく。そして,最終的に穴あけやねじ切りなどの加工を行って部品を完成させる。
 一連の流れの中で最も重要なことは,加工手順を考えることである。加工手順は部品の形状や材質によって異なるのはもちろん,要求されている加工精度や使用する工作機械によっても異なってくる。

図2 機械加工の流れ
能率のよい機械加工

 機械加工において,正確な部品を製作することが重要であるのは言うまでもない。一方,できる限り短時間で能率のよい加工が要求されることがある。確かに,機械加工の初心者よりも機械加工のベテランの方がはるかに加工が早い。しかし,実際に工作機械を動かしている時間は,加工速度に制限があるので,初心者とベテランとの差はほとんどない。能率よく機械加工を進めるためには,工具を交換する際の手際のよさや適切な加工手順の決定が重要である。どのような場合でも加工の作業を急いではいけない。



切削加工とプレス加工

 機械加工の代表的なものとして,切削加工とプレス加工(あるいは塑性加工)がある。切削加工とは,刃もので材料を削る加工であり,切り屑が出るのが特徴である。その代表的な工作機械として旋盤やフライス盤があり,これらは一つの工作機械で様々な形状の部品を製作できるという特徴がある。そのため,実験装置などの単品製作に適している。
 一方,プレス加工は,金属材料の塑性(一度曲げるとそのままの形状を保つ性質)を利用した加工である。プレス加工は切り屑が出ないため,材料を無駄なく使えるのが特徴であり,大量生産に適した加工法である。しかし,一対の型に対して,一種類の形状の部品しか作れないので,実験装置などの単品製作には適していない。
 本ホームページのほとんどは,切削加工について述べている。筆者には,プレス加工(大量生産)についての知識や経験が全くないからである。


図3 切削加工とプレス加工

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