第1章 とりあえず知っておきたい基礎知識
けがき作業
けがきに使う工具
けがきとは,紙の上に図面を描くのと同じように,材料の上に傷をつけて線を描くことである。穴あけの位置を決めたり,切り出しの位置や基準の線を決めるために行う。図1〜図6に,けがきに使う工具を紹介する。
正確さが必要とされる「けがき」とされない「けがき」
穴の中心位置を決めたり,材料の中心や基準を決めるためのけがき作業には正確さが必要とされる。そのような場合,時間をかけて丁寧にけがく。一方,帯のこ盤などで切断する位置を決める場合などは,切断後に部品の形状を仕上げていくので,それほど正確でなくてよい。その場合,時間をかける必要はなく,能率よく作業するべきである。
機械加工においては常に能率よく作業を進めるよう,心がけなければならない。
図1 けがき針
材料に線を引くために使う。先端が尖っていて,材料より硬い材質でできている。
図2 スケール(ものさし)
説明するまでもないが,直線を引くために使う。
図3 コンパス
製図と同様,円や円弧を描くために使う。先端は尖っていて硬い。
図4 センターポンチとハンマー
ボール盤で穴をあける際に,穴の中心位置に印をつけるために使う。けがき線(中心線)の交点に合わせるのが普通である。
図5 ブロックと定盤
通常,けがきの作業は定盤(じょうばん)と呼ばれる平らな台の上で行う。写真のような四角いブロックがあると便利である。
図6 ハイトゲージ
写真のハイトゲージは1/100 mm単位の高さまでデジタルで表示・設定できる。先端がけがき針になっているので,定盤の上を滑らせて材料をけがくことができる。スケールで線を引くよりも正確なけがき作業ができる。
けがきと穴あけ
以下,簡単な部品にボール盤で穴をあける手順を紹介する。
(1) 横方向の中心線をけがく
ブロックに材料を当てて,ハイトゲージを滑らせてけがく。
(2) 縦方向の中心線をけがく
材料を90度回転させて,垂直な線をけがく。
(3) 位置を合わせる
センターポンチで印をつけた後,ボール盤のドリルの位置に合わせる。この写真の場合,部品が小さかったためバイスに固定している。
(4) 穴あけ
ドリルで穴をあける。
(5) 穴あけ
切り屑がドリルの溝に貯まらないように,何度か出し入れをしながら穴をあける。。
(6) 完成
バリをしっかりととれば完成である。
図7 けがきと穴あけの手順
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