top bar
第3章 旋盤を使った加工

四爪チャックを使う



三爪チャックと四爪チャック

 旋盤のチャックは,円周上に配置された「爪」を狭めていくことで,材料を固定する。通常の旋盤加工では三爪チャックを使う。一般の旋盤加工では,材料の芯(中心)を出して円柱状に削ることが多いので,3つの爪で材料を固定するのが便利なためである。一方,材料を偏心させて削ったり,あるいは偏心させた位置に穴をあける場合,四爪チャックを使用する方法がある。これは4つの爪の長さを調整することで,材料を任意の位置に固定できる。ただし,四爪チャックによる材料の固定は,位置調整がかなり難しい。また,チャックの付け替えにも時間がかかるので能率が悪い。やむを得ない場合を除いて,むやみに使用しない方がよい。

図1 三爪チャックと四爪チャック



偏心させた位置に穴をあける

 例えば,図2に示す魚ロボットPF-600の胴体では,端面の偏心させた位置に2つの正確な穴(直径43 mm)をあける必要があった。この穴はOリングで水密構造とするため,加工面をきれいに仕上げなければならないので,穴をドリルで仕上げるわけにはいかない。このような場合,四爪チャックを使用した旋盤加工(中ぐり加工)が必要となる。


図2 部品図(魚ロボットPF-600の胴体)


図3 四爪チャックによる固定
 四爪チャックに付け替え,偏心させた位置に穴をあける。

図4 中ぐり加工
 中ぐりバイトを使用して,きれいな加工面に仕上げている。


図5 1つの穴を仕上げた状態
 一方の穴が仕上がり,もう一方の穴の位置にチャックの長さを調整した。

図6 完成間近の部品
 部品を固定するねじ穴などもあり,かなり複雑な部品である。


図7 組み立てた状態
 胴体を完成させて,その他の部品を組み立てた状態である。

図8 魚ロボットPF-600
 魚ロボットPF-600は,水漏れもなく,順調に泳ぐ。


[ Metal Working TOP ] [ Hirata HOME ] [ Power and Energy Engineering Division ] [ NMRI HOME ]
bottom bar
Contact khirata@nmri.go.jp