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第4章 フライス盤を使った加工 
フライス盤の基本操作 
  
 
 
フライス盤を使う
 フライス盤には回転軸が鉛直方向にある縦フライス盤と回転軸が水平方向にある横フライス盤とがある。一般に,横フライス盤は,加工速度が速いという特徴がある。しかし,工具の付け替えがやや面倒であり,製作できる部品の形状に限りがある。以下,汎用性に優れた縦フライス盤(図1)について説明する。 
 フライス盤とは,回転している工具に,バイス(万力)に固定した材料を当てて加工する工作機械である。工具には,ドリルやエンドミルと呼ばれる刃ものを使う。また,固定した材料は,図2に示すハンドルを操作することで,横方向(x軸),前後方向(y軸)及び高さ方向(z軸)の3方向に正確に移動できる。 
 
  
図1 フライス盤の外観
 
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図2 操作ハンドル
 
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フライス盤の付属品
 フライス盤を用いた加工では,工具(刃物)以外にいくつかの付属品が使われる。その主なものを紹介する。 
 
 
バイス(万力)
 削る材料を固定するのがバイス(万力)である。バイスはフライス盤のテーブルにしっかりと固定されている。加工する部品が大きい場合など,バイスをテーブルから取り外すこともできる。しかし,一度取り外したバイスを取り付ける際,バイスの固定面がx軸に平行になるように入念に調整する必要がある。やむを得ない場合を除いて,バイスをテーブルからはずさない方がよい。 
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図3 バイス(万力)
 
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デジタルスケール
 フライス盤のテーブルはx軸,y軸及びz軸に正確に位置決めすることができる。操作ハンドル付近の目盛を読みながら操作することも可能である。しかし,図4に示すようなデジタルスケールが取り付けられている場合,その数値を見ながら操作すると能率がよい。図4のデジタルスケールは,最小単位が5/1000 mmであり,x軸及びy軸の2軸の値を表示できる。 
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図4 デジタルスケール
 
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ポイントマスタ
 正確な位置決めをするためには,正確に基準の位置(x=0,y=0の点なので「0点」という)を見つける必要がある。その0点調整をするために,図5に示すポイントマスタを使うと便利である。ポイントマスタは,その先端が金属部品やバイスに接触するとLED(発光ダイオード)が点灯する構造となっている。その使用手順としては,ポイントマスタをフライス盤のチャック部に取り付ける。そして,操作ハンドルを動かし,ポイントマスタの先端部分がバイスや部品に当たる位置を見つける。 
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図5 ポイントマスタ
 
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フライス盤を使って製作した部品
 フライス盤を使うことで,様々な形状の部品を作ることができる。その制作手順については別のページで紹介することとし,最終的に完成したいくつかの部品を紹介する。 
 
  
図6 魚ロボットの部品
 
 魚ロボットUPF-2001のパワーユニットに使っている部品である。エンドミルを使って複雑な形状に仕上げている。 
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図7 魚ロボットの背骨
 
 フライス盤を使って製作したいくつかの部品が組み合わされている。ほとんどの部品は直方体に近い簡単な形状である。 
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(a) 製作したコンロッド
 
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(b) スターリングエンジンの駆動機構
 
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図8 スターリングエンジンのコンロッド
 
 50W級スターリングエンジンMini-Ecoboyのコンロッドである。部品の厚みがかなり薄いので,固定が難しく,製作しづらい。しかも,かなりの精度で作る必要がある部品なので,細心の注意を払って製作した。 
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