ダブルアクティング形エンジンの駆動機構
ダブルアクティング形スターリングエンジンは,作動空間を有効に利用でき,高出力化が可能な形式ですが,円周上に配置された4つのピストンに適切な位相差を与える駆動機構が複雑になります。以下,ダブルアクティング形エンジンに用いられるいくつかの駆動機構を紹介します。
斜板機構(スワッシュプレート機構)
斜板機構(スワッシュプレート機構)は,出力軸に傾斜させた円板(回転傾斜板)を取り付け,それにシューを介してピストンを往復運動させる機構です。円周上に4本のピストンを配置すれば,隣り合うピストンに90度づつの位相差を保つことができます。小型化が可能なため,高性能・高出力なスターリングエンジンに用いられています。しかし,回転傾斜板とシューの隙間を適切に保つことが難しく,またピストンを直線運動させるためのガイドが必要になるなど構造が複雑になるという問題もあります。
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斜板機構の概念図
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NS30Aエンジン(アイシン精機) |

STM4-120エンジン(STM社) |
揺動ヨーク機構
揺動ヨーク機構は,斜板機構の回転傾斜板をベアリングで支持して,ヨーク(斜板)とピストンとの摩擦を低減させるための機構です。理想的に組み立てられれば,全ての駆動部を回転式のベアリングで支持できるため,滑らかな運転が可能になります。しかし,多くのベアリングを必要とするため,騒音が増大しやすいなどの問題があります。
揺動ヨーク機構には,様々な形式に発展できますので,工夫次第で高性能な駆動機構が完成すると考えられます。
Whisper GEN社のHP(ニュージーランド):揺動ヨーク機構を用いた実用エンジンが紹介されています。 |

揺動ヨーク機構の概念図
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200W級エンジン(Dr. Clucas) |

魚ロボットの揺動ヨーク機構(参考)
(模型魚ロボットPPF-03のページへ) |

魚ロボットの揺動ヨーク機構(参考) |
歯車機構
ダブルアクティング形エンジンの駆動機構に通常のクランク機構を利用することもできます。例えば,2本のクランク軸を歯車を介して連結する方法などです。このような歯車を用いた駆動機構は,一部の高性能・高出力でも採用されています。
また,2つのロス機構を利用したり,あるいはリンク機構をうまく組み合わせることもできます。 |

歯車機構の概念図
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[Stirling Engine Dictionary]
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