プレスリリース

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令和6年4月18日
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所

実運航でのGHG排出削減を促進
-世界最高精度の船舶の実海域性能モデルをウェザールーティングサービスに実装-

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長 峰本健正、東京都三鷹市、以下「海上技術安全研究所」)と株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁、以下「ウェザーニューズ」)は、実海域性能モデルを組込んだウェザールーティングサービスの実用化を目的とした共同研究を行い、2024年5月より、海上技術安全研究所が開発した船舶の実海域性能モデルを組み込んだサービスをウェザーニューズにて開始することとなりましたので、お知らせいたします。
これにより、船型により異なる実海域性能(速度、燃費、船体動揺)を考慮した一層の効率運航が可能となり、船舶からのGHG排出削減が進むことが期待されます。

海上技術安全研究所は、実運航でのGHG削減を進めるため、船舶の実海域性能モデルを組み込んだウェザールーティングサービス(最適航路選定支援サービス)の実用化を目的とした共同研究をウェザーニューズとともに行い、共同でデータ検証を行ってきました。その結果を受けて、2024年5月からウェザーニューズにて新たなサービスを開始することになりました。

具体的には、海上技術安全研究所でこれまで開発してきた、波、風のある実海域で航行する船舶の速度、燃料消費量を世界最高精度で推定する実海域性能モデル(VESTA:ベスタ)を共同研究の成果をもとにウェザーニューズのウェザールーティングシステムに組み込むことで、船型により異なる実海域性能(速度、燃費、船体動揺)を考慮した最適な運航プランを提供することができます。このサービスを利用することで一層の効率運航が可能となり、船舶分野からのGHG(温室効果ガス)排出削減が進むことが期待されます。

海上技術安全研究所は引き続き、船舶の実海域での安全性・経済性・環境性を考慮した研究開発に取り組んでまいります。


(参考)
ウェザールーティングとは、気象予報をもとに船舶の進路、エンジン回転数を変更することにより、最短時間到着、最小燃料消費量といった最適な運航プランを提供するものです。

世界最高精度の船舶の実海域性能モデル(VESTA)とは、海上技術安全研究所が開発した、実運航性能シミュレータ(VESTA)に実装している波浪中抵抗増加、風圧力、当舵力、斜航力、船体動揺等の推定法に基づくモデルであり、実海域性能モデルで最も重要となる波浪中抵抗増加は各国の試験水槽機関で構成される国際試験水槽会議(ITTC:International Towing Tank Conference)で最も精度の高い推定手法と認められたものです。

精度:波浪中抵抗増加の推定はこれまで約20%の誤差がありましたがVESTAでは約5%の誤差まで精度向上しています。これにより、船型差を実海域性能で比較することが可能なレベルとなりました。

<問い合わせ先>
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
海上技術安全研究所 企画部広報係
問い合わせフォーム:https://www.nmri.go.jp/contact/

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