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講義ノート:もの作りのための機械設計工学 第9章 機械システム設計
第4章から第8章までは,主として機械の構成要素に着目した設計(要素設計)について述べてきた。一方,システム設計とは,さらに広範囲な「もの作り」のための設計であると言える。以下,システム設計の手順と必要性,システム設計を行う際に必要とされる設計者の知識について簡単に述べる。
![]() 通常の機械設計は,概念設計,基本設計,詳細設計の順番で行われていく(図1.4参照)。さらに,それらに関連して,設計条件や仕様,設計コンセプト(設計指針)などの制約や発想がある。そして,機械設計を完成させるためには,第4章から第8章までに述べてきたような,機械の構成要素に着目した設計(要素設計)が必要となる。システム設計の定義は定かではないが,以上の全てを踏まえた広範囲なものであると考えられる(図9.1)。もちろん個々の項目を入念に検討する必要があるのは言うまでもないが,機械を完成させるという最終目的を考えた場合,機械全体を適切なバランス(兼ね合い)に保つことが重要であり,常にシステム設計の考え方を取り入れておかなければならない。
![]() 図9.1 システム設計の手順
![]() 機械設計は,機械を作り上げていく過程における「考える過程」である。それぞれの設計者が新しい発想を持ち,創造的な設計を進めることが重要であるが,同時に基礎的な知識を利用していかなければならない。一般の機械工学科では,材料力学,熱力学,流体力学,機械力学(振動),機構学,計測・制御工学,機械材料学,機械加工学などを学ぶ。システム設計では,以上にあげた科目の一部あるいは全てを利用する。以下に述べるスターリングエンジンの設計では主として熱力学,機械力学および機構学の知識を必要とする。人力水中翼船や風力エネルギーを利用した船の概念設計では主に流体力学の知識を必要とする。魚ロボットの設計では,流体力学,機構学および制御工学などの知識が必要となる(図9.2)。
![]() 図9.2 魚ロボットのシステム設計
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