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続:機械加工の基礎知識
NC旋盤/マシニングセンター |
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★NC機械で何ができるの? |
●NC旋盤/マシニングセンターとは
旋盤は,回転している材料に刃物を当てて,円柱や円筒形状の部品を削る工作機械です。バイトと呼ばれる刃物は前後方向と左右方向に動かすことができ,その操作を手動,あるいは1方向だけの自動送りを可能としたのが,いわゆる汎用旋盤です。材料の回転やバイトの動かし方をコンピュータ制御としたのがNC旋盤です。
フライス盤は,材料をテーブルに固定して,回転しているドリルやエンドミルなどの刃物に材料を当てて加工する工作機械です。テーブルあるいは刃物を前後,左右,上下方向に動かして材料を加工していきます。それぞれの軸の操作をコンピュータ制御とし,プログラムによって一連の動作をさせるのがマシニングセンターです。
これらNC機械の特徴は以下の通りです。
- 工具交換を含めて,加工時間を短縮できる。
- プログラムを作成することで,無人の自動運転ができる。
- Gコードと呼ばれるプログラムコードを使用する。
- 一度プログラムを作ってしまえば同じ動作を繰り返すため,量産性に優れる。
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●同じ作業の繰り返し
汎用旋盤を使って円柱部品をひたすら細くしたりするときや,汎用フライス盤を使って端面を仕上げるときなど,作業が単調な割りに加工時間は長くなります。そのようなとき,NC機械は威力を発揮します。 |

NC旋盤による単純作業 |
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●高精度な部品の加工
NC機械は,各軸移動の分解能が高く,バイトやテーブルの送りを1/1000mm単位で設定できます。そのため,汎用旋盤や汎用フライス盤と比べて,きめ細かい寸法設定が可能となります。例えば,1/100mm刻みで同一形状の部品を製作することも簡単です。 |

模型エンジン用ピストン
(左から直径19.98mm,20.00mm,20.01mm) |
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●曲面形状の加工
一般に,汎用旋盤は同時に1軸方向だけにしか移動できません。それに対して,NC機械では2軸以上を同時に動かすことができるため,球面形状の旋盤加工や円弧軌跡のフライス加工などが可能となります。 |

NC旋盤による球面加工の例 |
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●特殊形状の加工
NC機械の使い方をうまく工夫することで,汎用機械では作りにくい形状の部品を加工できます。例えば,旋盤ではチャックできないような大径薄型リング(右写真)をマシニングセンターによって削り出すこともできます。 |

マシニングセンターで加工した大径薄型リング
(外径169mm,内径145mm,厚さ3mm,A2017) |
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