続:機械加工の基礎知識
NC旋盤/マシニングセンター
 マシニングセンター
★工具と設定
 以下,マシニングセンターに使う工具とその設定方法について説明します。
●工具とツーリング
 汎用フライス盤に使う工具と変わりません。ドリルやエンドミル,あるいはバジカルカッターを使います。
 マシニングセンターでは,ドリルやエンドミルを固定するためのツーリングが必要です。右の写真はテーパがついたスリーブです。汎用フライス盤とほぼ同様の形状ですが,取り付け部にプルスタットボルトと呼ばれる固定用の出っ張りがある点が異なります。

マシニングセンターのツーリングと工具
●工具の取り付けと工具番号
 本マシニングセンターには20種類の工具を取り付けておくことができます。それらはATCに設置されますが,そのATCに表示されている番号(ATCポット番号)と実際の工具交換や自動運転時に使用する工具番号とは異なります。したがって,工具番号を合わせる作業はかなり複雑です。工具の取り付けは概ね次のような手順で行います。

@あらかじめツーリングに工具を取り付けます。
AATCにツーリングを取り付けます。
B工具データ設定モードにして,工具番号を設定します。

【補足】工具番号
 本実験室に設置されているマシニングセンターでは,概ね次のような工具を取り付けています。
工具番号 工具
01 センタードリル
02 ドリル(小)
03 ドリル(中)
04 ドリル(大)
05 エンドミル(φ12)
06 エンドミル(φ20)
07 エンドミル(随時変更)
08 ポイントマスター

工具設定画面
●工具パラメータ設定
 運動軸が多く,工具数が多いマシニングセンターでは,工具のオフセット値(高さ設定などのパラメーラ)を設定するのは大変な作業です。マシニングセンターを使って量産部品を製作する場合は,それらのパラメータを正確に設定しておく必要があります。しかし,単品製作がほとんどで,工具や部品寸法が頻繁に変わるような場合,工具パラメータを設定しない方が安全性・便利性が高いと考えられます。したがって,本実験室のマシニングセンターは,工具パラメータを設定せず,加工に応じてプログラム内で工具高さを設定しています。
●工具交換
 NC旋盤の工具交換と比べて,マシニングセンターの工具交換はやや複雑です。MDI運転モードにして,Tに続く工具番号(例えば「T01」で工具番号)で工具を選定し,工具交換の命令M06を実行します。右下写真のように,工具交換時にはツーリングがかなり下がります。工具交換の際,工具とテーブルあるいはバイスとをぶつけないように注意します。

工具交換(ATC)

工具交換の様子
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