SMART 乱流制御用語集 (五十音順)



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  • アクチュエータ (Actuator)
      他の物体に対し作用を及ぼす装置。他の物体を移動・変形させる機能を有する。MEMSによって数ミクロンオーダーのリード状のものが作られている。

  • 界面活性剤 (Surfactant)
      石鹸などの水の表面張力を低減する物質の総称。摩擦抵抗低減のために使用される界面活性剤は、水中で棒状に集合して数10オングストロームの長さになり、乱流を抑制することにより最大約80%もの摩擦抵抗低減効果があることが実験的に確認されている。

  • 拡散 (Diffusion)
      例えばコップの中の静止した水にインクを垂らした時を考えよう。流体の動きはなくても徐々にインクがコップ全体に広がり混合していく様子が観察されるだろう。これを分子拡散という。コップの水をランダムにかき混ぜると、細かい流体運動による混合が行われるがこれを乱流拡散と呼ぶ。当然、コーヒーに入れたミルクと同様、乱流拡散の方が混合のスピードが速い。一般に燃焼に代表される化学反応の促進のためには、反応物質が十分混合されている必要があるが、乱流拡散はそういった場合に有効である。

  • 境界層 (Boundary Layer)
      物体に接する(物体に沿って流れる)流れでは、流れの粘性のために物体表面での流れの速度は0となる。しかし、表面から少し離れると流れの速度はかなり速くなる。そのため、物体表面付近には表面から少し離れただけで流れの速さが急激に変化する部分ができる。速度変化の大きい部分を抽出して境界層と呼ぶ。この境界層の中に乱流が生じることが多く、流体力学の問題を複雑にしている。

  • 磁性流体 (Magnetic Fluid)
      磁性流体は、砂鉄のような磁石に反応する細かい粒子を水、ケロシンなどの母液中に多数個分散させて作った人工的な溶液である。粒子サイズは非常に細かいため見かけ上は普通の流体である。特徴としては、内部に混合している細かい粒子だけでなく、流体それ自身が磁石に反応するかのように振る舞うことにある。

  • 処理速度、主記憶容量 (Processing Rate, Main Memory)
      計算機の能力を特徴付ける値。これらの値が大きい計算機ほど大量のデータをより迅速に処理できることになる。

  • 数値流体力学(Computational Fluid Dynamics, CFD)
      数値シミュレーションにより流体力学を研究する学問。近年の計算機の発展に伴い、基礎的な流体現象の研究から流体を応用する工学の各分野の研究までの広い範囲で用いられる有力な方法になった。

  • 数値シミューレション (Numerical Simulation)
      物理現象のメカニズムを表す方程式(微分方程式の場合が多い)を計算機により数値計算し、得られた数値解で現象を解析しようとする方法。

  • せん断流 (Shear Flow)
      通常流れ方向に垂直な方向に速度差がありせん断応力が強く働く流れを言う。物体近傍の流れもせん断流である。

  • 直接数値シミュレーション(Direct Numerical Simulation: DNS)
      計算機による数値シミュレーションで基礎方程式を数理モデルを使うことなしに解く事を言う。乱流場をDNSで解く場合、渦の最小単位(コルモゴロフスケール)を捉えるほど計算格子を細かくする必要があるために、多大な計算機パワーが必要。

  • 抵抗低減 (Drag Reduction)
      大気圏内で移動する物体には空気との摩擦による抵抗が働く。人類が使用する移動体(車、船、飛行機等)は、すべからくこの抵抗に打ち勝つ動力を必要とする。この抵抗を低減することができれば、必要となる動力が減少し、一般的には燃費の改善に繋がる。

  • テラフロップス (TFLOPS,Tera FLOPS,Floating Point Operations Per Second)
      1秒間に 1兆回(10の12乗)の浮動小数点演算ができる処理能力を表す。科学技術計算用の計算機の処理速度を表す際に用いられる単位。最近、テラフロップスオーダーのコンピューターが出現してきた。

  • ナビエ・ストークス方程式 (Navier-Stokes Equations)
      空気、水等の流体の流れのメカニズムを表す方程式で流体力学の土台になる方程式。この方程式を完全に解き得るならば流体力学上の難問なかなりが解決されるであろうと言われているが、非線形性が非常に強く、現在のところ特殊な条件下でしか解けない。

  • ニューラルネットワーク (Neural Network)
      生体の脳神経のシナプス結合をモデル化した、超並列的な分散情報処理システムで、学習機能を持たすことが可能である。乱流制御への応用が期待される。

  • 剥離 (Seperation)
      きれいな流れにおいて流れは物体表面に沿って流れるが、例えば、円柱回りの流れを考えると円柱の後方で円柱表面に沿って流れることができず剥がれてしまうことがある。このような現象を流れの剥離と呼ぶ。航空機の場合迎角を大きくとると翼上面に起こることがあり急激な圧力低下を招く。失速による航空機墜落の原因ともなる。

  • 半導体分光センサー(Semiconductor Spectrum Sensor)
      半導体を利用して特定の波長の光を電気量に変換する素子。半導体基盤上に組み込み通常のシステムと比較して極めて小型で取り扱いやすく今後の発展が待たれる。

  • フィードバック制御 (Feedback Control)
      乱流制御の1種。流れの状態を計測し、その状態に応じて制御の程度を決定し、能動的に流れに作用を施す。近年、マイクロマシン技術の発達により、マイクロセンサーとマイクロマシンの組み合わせでこのようなActive制御が可能となった。制御を最適化することで、対象とする流れと授受する微少なエネルギー量をはるかに上回る量の制御効果を上げることができる。

  • 並列計算機 (Parallel Computer)
      計算処理の中核であるCPU(Central Processing Unit)が複数台存在しそれらが相互に結合することで、1つの作業を同時に並行して行える計算機のこと。理想的にはCPUの台数分だけの処理能力の向上(2台なら半分の時間で計算は終了し、4台なら4分の1で終了する)が見込まれるが、特に台数が増えてくると各CPU間のデータ通信にかかる時間が増大するため、処理速度の向上は頭打ちになる。

  • ベクトル計算機 (Vector Computer)
      通常の処理装置の他にベクトルユニットと呼ばれる処理装置を持ち、繰り返し処理を一度に行うことで処理速度を飛躍的に高めた計算機。近年の大型計算機、特にスーパーコンピューターと呼ばれる計算機は殆ど全てベクトル計算機である。

  • マイクロバブル (Microbubbles)
      直径1mm以下の微細な気泡のこと。境界層中にマイクロバブルを注入することにより、壁面摩擦を低減させることができる。注入された気泡は、乱流を抑制する、粘性を増大させる、などのメカニズムにより壁面摩擦を低減させると考えられている。低減効果は注入気泡量などによって変化するが、最大で約80%にも達することが実験的に確認されている。

  • マイクロマシン (MEMS,Micro Machine)
      数ミクロンm〜数cmのオーダーの大きさで、機能を発揮する微小な機械の総称。移動、変形、物性変化などが可能で、加工、センサ(計測器)、アクチュエータ(作用器)などの特徴を発揮できる。

  • 乱流遷移 (Transition)
      物質の流れはその経歴や環境によってその様相を変化させる。層流はある場合に不安定化を起こし乱流へと変化する。これを乱流遷移と呼び、現在の流体力学において最も難解な研究課題の一つであり、基礎、応用の両面で、他の科学、技術分野とも関連が深い。

  • レイノルズ応力 (Reynolds Stress)
      乱流の微少擾乱が流体の応力に寄与するもの。乱流モデル研究は、多くの場合レイノルズ応力をどのように与えるかという問題に帰着する。

  • レイノルズ数 (Reynolds Number)
      流れに対する粘性の効果を表す無次元数。

  • LIF(Laser-induced Fluorescence、レーザー励起蛍光)
      LIFは非接触、高感度で火炎内の化学種(分子、ラジカル等)を検出できる技術である。波長可変の狭帯域レーザーの波長を分子やラジカルの電子遷移に合わせ、電子状態を励起し、その後の緩和過程で放射される蛍光を検出することで、化学種の濃度情報が得られる。しばしばレーザー光はシート状に整形され、化学種分布の断層撮影も行われる。



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