SMART 乱流制御用語集 (1)



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(1) 研究の概要・目標
  • 乱流 (turbulence 又は turbulent flow)
      物体表面を過ぎる流れは、低速では秩序だった層状の流れすなわち層流(laminar flow)であるが、流れの大きさがある程度以上あるいは速さがある程度以上になると、流れの中の微細な渦運動が減衰せず発達し、次々に様々なおおきさと形状の渦を作る。これが乱流。同様なことがジェットについても起きる。下図は壁乱流が層流から乱流に変化する様子を示している。

  • 壁乱流 (wall turbulence)
     

    物体表面に沿って流れる流れの中に発生する乱流。上図は壁乱流の例である。

  • 乱流ジェット (turbulent jet)
      孔から吹き出される流れが噴流(jet)である。乱流状態のジェット。

  • 混相乱流 (mixed phase turbulent flow)
      混相流とは気泡流のように、気体(気相)と液体(液相)が混ざり合っている状態の流れであり、混相乱流とは混相流中の乱流。工学的な流れは、気体あるいは液体だけの単相流でなく、両者が混ざり合った混相流であることが多い。混相流は単相流と異なる乱流特性をもつ。

  • 乱流燃焼 (turbulent combustion)
      乱流状態での燃焼。乱流の混合・拡散作用が燃焼状態を大きく変化させ、燃焼効率・生成ガス組成に大きな影響をもつ。下図は水素の乱流燃焼の数値シミュレーション。

    水素の乱流燃焼の数値シミュレーション


  • 熱流体システム (thermal and fluids system)
      流体が運動し反応(燃焼を含む)する系の総称。その結果、熱の発生や伝達、物体への力の作用が生じる。

  • 乱流能動制御 (active control of turbulence)
      乱流の発生状態をセンサーを用いて検知し、乱流を好ましい方向に変化させるためにアクチュエータを動作させる制御法。結果は再び検知され、アクチュエータのより効率的な動作法が学習される。

  • MEMS (Micro Electro-Mechanical System)
      電子的・機械的な微小デバイスのシステム

  • マイクロセンサー (micro-sensor)
       微小(micro)なセンサーの意味。センサー(sensor)は検知する(senseする)装置。 流体中の速度や圧力、乱流の構造、燃焼状態、生成ガス組成などを検知する。下図は壁面で2方向の摩擦(せん断応力)を計測するセンサーと、センサーを50個並べた配列、共に本プロジェクトで製作、を示す。


    2成分せん断応力センサー   せん断応力センサーアレー(50個)  

  • マイクロアクチュエータ (micro-actuator)
      微小(micro)なアクチュエータ。アクチュエータは流体に作用する可動装置。 壁面やジェットノズルの周囲壁に埋め込まれ、微細な動きで乱流を変化させ、流れを大きく変化させる。現在は、圧電素子型及び電磁フラップ型のアクチュエータを開発済み。


    円盤に埋め込んだ圧電素子型
    アクチュエータ(機技研)

    電磁フラップ型アクチュエータ


    下図のように、センサーとアクチュエータは配列状に配置される。

    センサーアクチュエーターアレー

  • 希薄予混合燃焼 (lean premixed combustion)
      燃料ガスと空気を事前に希薄に混合させておいてから燃焼させる燃焼方式。燃焼効率が高く、且つ有害生成ガスが少ないという長所があるが、安定な燃焼が困難であり、希薄予混合状態でいかに安定に燃焼させるかが本プロジェクトの主要研究課題のひとつ。

  • 制御理論 (control theory)
      乱流の能動制御のための理論。ニューラルネットなどの適応型制御、半最適化制御、最適化制御などがある。

  • 流体の物性制御 (control of physical property of fluids)
      乱流の能動制御の効率を高めるため、流体に添加物を付加することによって流体の密度や粘性などの物性を変化させる方法。

  • 燃焼計測センサー
      燃焼温度や生成ガス組成分布などの燃焼状態を検知するデバイス。高温なためレーザなどの光学的センサーが用いられる。

(2) 諸外国の現状等
  • リブレット (riblets)
      壁面に流れ方向につけられた微細な縦溝。壁面乱流を抑制する効果があり、最大約10%の摩擦抵抗低減効果があることが知られている。

  • ポリマー (polymers)
      壁面の摩擦抵抗の低減を目的として、水に微量添加する高分子化合物のこと。数10PPMという微量な添加によって摩擦抵抗が1/5にも減少することがある。界面活性剤も同様な効果をもつ。

  • ERCOFTAC
      European Research Community on Flow, Turbulence And Combustionの略。EU及び周辺地域の乱流及び乱流燃焼関係の研究機関を結合した組織。1988年に設立。いくつかのpilot centerとspecial interest groupをもつ。



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