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消費電力の測定



消費電力の測定方法

 PPF-04における消費電力の測定システムを下の図に示します。電源(電圧V0)と魚ロボット内のR/C受信機およびサーボモータとの間に抵抗R(R=0.67Ω、4Ωの抵抗6本を並列に配置)を取り付けます。抵抗両端の電圧をV1とすると、抵抗R内の電流iは
i=V1/R
となります。魚ロボット内の受信機にかかる電圧Vfは、
Vf=V0-V1
であり、また、抵抗R内の電流iと魚ロボット内を流れる電流iとは等しいので、魚ロボットの消費電力We(W)は、
We=Vfi=(V0-V1)V1/R
となります。すなわち、V0とV1を測定することで、消費電力Weを求めることができます。今回の実験では、電源を安定させるために、魚ロボット内のバッテリ(7.2V、110mAh)を用いずに直流電源(COSEL製R25-5、5V5A、入力AC85-132V)を使用しました。また、サーボモータの運動によって電圧Vfおよび電流iは変動するため、A/Dコンバータにより1kHzのサンプリング周波数で1000個のデータ(1sec)を取得し、それらの平均から消費電力Weを求めました。詳細な測定では、運転周波数によってサンプリング時間を適切に変化させなければなりません。



周波数と消費電力の関係

 右の図は、PPF-04を水上に出した状態で、尾ひれと尾柄との位相差を90°、中心軸から左右に最大20°ずつ運動させた場合の運転周波数と消費電力との関係です。この結果から、周波数が増加するに従って、消費電力が上昇していることがわかります。
 また、R/C送信機と受信機の電源をONにし、サーボモータを静止させた状態での消費電力は、1.32W(5回の測定の平均値)でした。この値は電波を受信するための電力であると考えられますので、周波数が1Hz以下程度の低い周波数で運動させた場合、サーボモータを動かすための電力は非常に小さいことがわかります。なお、送信機の電源をOFFとした状態での消費電力はわずか0.18Wでした。送信機がONの時とOFFの時の消費電力の差は非常に大きいのですが、その原因は送信機側で発生するわずかなノイズのためであると考えられます。


 右の図は、PPF-04を水上に出した状態と水中に入れた状態の運転周波数と消費電力との関係です。尾ひれと尾柄との位相差は90°、中心軸から左右に最大30°ずつ運動させています。この結果から、水上(空気中)と水中とでは、ほとんど消費電力に変化がないことがわかります。水中での消費電力と水上での消費電力との差は、水を推すために要した動力であると考えられますが、その動力は非常に小さいので、測定ができません。振幅を20°および40°とした場合も同様の結果が得られています。


 右の図は、PPF-04を水中に入れた状態で、尾ひれと尾柄との位相差を90°、中心軸から左右に最大20°、30°および40°ずつ運動させた場合の運転周波数と消費電力との関係です。この結果から、振幅が大きいほど、消費電力が上昇していることがわかります。40°の振幅で動かした場合、周波数が高い領域で消費電力がやや低く測定されていますが、これは電源の電圧が低かったために、高い周波数にサーボモータの運動が追従できなかったためであると思われます。


 右の図は、PPF-04を水上に出した状態で、尾ひれと尾柄との位相差を90°、中心軸から左右に最大20°、30°および40°ずつ運動させた場合の運転周波数と消費電力との関係です。水中での特性(前の図)と同様の結果が得られました。


 右の図は、PPF-04を水上に出した状態および水中に入れた状態で、尾ひれと尾柄との位相差を変化させた場合の消費電力を示しています。振幅は中心軸から左右に最大30°ずつ3Hzの運転周波数で運動させています。この結果から、ばらつきは大きいものの、水上に出した状態では位相差の変化に対して消費電力はあまり変化していないことがわかります。一方、水中で運動させた場合は位相差が小さいほど消費電力が増加する傾向があるように見受けられます。これは位相差が小さいほど水を推す動力が大きくなっているためであると考えられます。
 水中での消費電力は、水上での消費電力より若干小さく測定されていますが、その原因は、付加が加わることによって電圧Vfが低下することなどが考えられます。




コメント

 以上の方法で消費電力を概ね測定できることが確認できました。しかし、詳細な実験では、より精度の高い測定をしなければならないと考えています。




PPF-04のビデオ
PPF-04の旋回性能
周波数と速度の関係
位相差と速度の関係

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