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おしらせ

 

平成30年6月11

 
 

海技研研究職員が日本マリンエンジニアリング学会から論文賞、
技術賞及び奨励賞を受賞

  
 

環境・動力系の大橋厚人上席研究員、城田英之グループ長、中村真由子研究員、益田晶子上席研究員は、2018年5月21日に日本マリンエンジニアリング学会論文賞を、海洋リスク評価系の岡秀行副系長、太田進国際連携センター長は技術賞をそれぞれ受賞しました。 また、環境・動力系の市川泰久研究員は日本マリンエンジニアリング学会奨励賞とロイドレジスター奨励賞を受賞しました。
 

 
◆論文賞
論 文 名: 舶用ディーゼル機関から排出されるPMの分析事例
       -大気質シミュレーションへの適用
著   者: 大橋厚人、城田英之、中村真由子、益田晶子
発表雑誌名: 日本マリンエンジニアリング学会誌第52巻第6号
論文内容:
ディーゼル機関から排出される粒子状物質(PM)は人の健康に影響を与えるとされているだけでなく、 PMに含まれるブラックカーボンは気候変動の原因物質としても注目されています。 このような大気汚染物質が住環境などへおよぼす影響を評価するため、大気質シミュレーション(例えば、米国環境保護庁のCMAQ:Community Multi-scale Air Quality)が使用されています。 このCMAQを用いて、船舶から排出される大気汚染物質の影響評価を行うためには、大気汚染物質の排出量データを入力しなければなりません。 この排出量データの中で、発生源から排出されるPMについては、硝酸イオン(ナイトレート)、硫酸イオン(サルフェート)、有機炭素(OC)、元素状炭素(EC、「ブラックカーボン」と同義です)、その他、の5成分に分類して入力することとなっています。 しかし、これらの5成分に分類した舶用ディーゼル機関からの排出量データはこれまで示されておらず、特にナイトレートに関する分析事例は報告されていませんでした。
本報告では、3種類の舶用ディーゼル機関を運転特性や使用燃料を変更して運転し、それぞれPM排出率を求めるとともに、PM中のナイトレート、サルフェート、OC、EC、その他、の5成分について分析した結果を示しました。さらに、これらを成分ごとに考察し、排出量データ作成のための留意点をまとめました。本研究により得られた詳細な成分分析データを用い、CMAQによるシミュレーションをおこなうことにより、船舶から排出されるPMが環境へ与える影響(負荷)を、より精度よく評価することが可能となりました。

◆技術賞
論 文 名: 車両積載区画を模擬した可燃性ガス風洞における水素の
       移流拡散シミュレーション
著   者: (海上技術安全研究所)岡秀行、太田進
       (産業技術総合研究所)緒方雄二
       (横浜国立大学)岡泰資
発表雑誌名: 日本マリンエンジニアリング学会誌第52巻第4号
論文内容:
地球温暖化の抑制策として自動車分野では米国カリフォルニア州の「Zero Emission Vehicle制度」等をはじめとする世界的な環境保全に向けた取り組みを背景に、 水素燃料電池自動車や圧縮天然ガス自動車の輸出需要が増大すると見込まれています。 海上運送中の事故等により自動車船内で水素自動車から水素が漏洩した場合、水素は周囲空気に比べ分子量が小さく作用する浮力が大きいため、 甲板下に設置された補強部材が「垂れ壁」と同様の役割を果たすことにより、水素濃度が可燃範囲となる領域が天井近傍に形成及び維持されることが懸念されます。 このような背景から2010年4月より国際海事機関(IMO)の防火小委員会において水素自動車等の海上輸送に対する安全基準の整備に関する審議が開始され、 2016年1月から新たな安全基準が施行されています。
これを踏まえ、本報告では自動車船の車両積載区域における水素の漏洩を想定した影響評価手法として数値流体力学的手法に基づく数値シミュレーションに着目し、 その適用可能性について検討しました。具体的には、車両積載区域の一部を模擬した実大スケールの風洞実験を対象に乱流モデル及び計算格子幅が風洞内の流速分布ならびに水素の濃度分布に及ぼす影響を調べました。 補強部材に囲まれた天井近傍の領域で水素が滞留する現象を定量的に予測するには極めて多くの計算格子が必要となり、現状の一般的な計算機を用いて実用的な計算時間内に結果が得られるように計算格子数を調整した場合、 水素濃度を過小に評価する可能性があるため結果の解釈には注意が必要であることを示しました。

◆奨励賞
論 文 名: 燃料ガス組成がリーンバーンガス機関の燃焼特性および排ガス特性に与える影響
著   者: 市川泰久
発表雑誌名: 日本マリンエンジニアリング学会誌第52巻第2号
論文内容:
地球温暖化防止や大気汚染防止等の環境保全の観点から、各国・各機関による内燃機関の排ガス環境規制が年々強化されています。これに伴い、 原油燃料に比べて燃焼過程で生成される環境負荷物質(二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx) 、粒子状物質(PM)等)の排出量が少ない天然ガスを燃料とするガス機関が注目されています。 一方、ガス機関の機関特性(燃焼特性、排ガス特性等)は供給する燃料ガス組成の影響を受けることが知られています。舶用ガス機関に供給される燃料ガス組成は、 産出地毎の相違やタンク内部での濃縮等によって異なります。このため、燃料ガス組成が変化した場合においてもその信頼性・安定性・環境性を担保することが求められています。 しかし、舶用の比較的大型(数百kW以上)のガス機関に対しては、燃料ガス組成が機関特性に与える影響を調査した報告例は少ないため、 本研究では、船舶への搭載が想定される副室着火方式・希薄予混合燃焼のガス専焼火花点火ガス機関(リーンバーンガス機関)を対象として、燃料ガス組成の相違が機関特性に与える影響を詳細に調査し、 舶用リーンバーンガス機関の信頼性・安定性・環境性を向上するための対応・対策技術を開発することを目的としています。
本報では、実機400 kWリーンバーンガス機関を用いて、供給する燃料ガスの組成を変化させた場合の燃焼特性や排ガス特性等を実験的に調査した結果を報告しました。 本研究で得られた知見は、リーンバーンガス機関を搭載した天然ガス燃料船が燃料性状を管理する際に有益な情報になると考えられます。今後は、研究を進展させて燃料ガス組成の相違がリーンバーンガス機関の異常燃焼に及ぼす影響を明らかにする予定です。

 
論文賞

論文賞受賞の様子と表彰状
(写真左から)城田グループ長、大橋上席研究員
(写真右から)益田上席研究員、中村研究員

技術賞

技術賞受賞の様子(写真左から2番目が岡副系長)と表彰状
※太田センター長はIMO会議のため欠席)

奨励賞

奨励賞受賞の様子(写真左が市川研究員)と表彰状、学会賞メダル