お知らせ
第19回 海技研研究発表会を東京(海技研本館)で開催
GHG削減、海洋開発やAIなど5分野で15の講演
研究発表会は、所内本館の講堂と会議室を活用して、5つのセッションを進めました。冒頭、宇都所長は海技研のあり方について、「人と物が集まる研究開発の拠点にしたい」と強調。続いて谷澤 克治研究統括監が「2030年に向けた海技研のビジョン」と題して基調講演し、「これまでの燃料の造船技術中心の研究から、今後はデータサイエンスをコアにした新たな造船設計体系を構築していく」との方針を述べました。
引き続き、午前の部の研究発表、セッション1(GHG削減)を開始、環境・動力系や流体設計系の研究者らが研究内容を紹介しました。平田 宏一系長は低・脱炭素燃料に対応する舶用動力システムについて、辻本 勝系長は流体分野のGHG削減について、また、小坂 浩之上席研究員は国際海運のCO2 排出シミュレーショについて、それぞれの成果や今後の取り組みなどを説明しました。
午後の部、セッション2(海洋開発)では、海洋先端技術系の金 岡秀上席研究員が、複数AUVの同時運用による海底調査の現状と今後の課題について講演。研究所がSIP海のジパング計画の下、世界に先駆けた海底熱水鉱床の産業開発を目指す中で、プロジェクト実現に向けた具体的調査方法や機器、装備、運用技術の研究開発成果について報告しました。続いてセッション3(デジタルツイン)では、構造安全評価系の岡 正義構造解析研究グループ長が、船体構造のデジタルツイン開発に向けた取り組みについて紹介しました。
セッション4(AI)では、様々な分野で適用が進むAIの可能性とその技術を海事分野に活かした事例を紹介しました。谷口 智之研究員は「最新の人工知能技術の活用」についての講演で、強化学習を用いた自動ネスティング手法について解説し、人間の手直しが不要な配置結果を導けたとの成果を報告しました。また、最終セッション(自律船)では、知識・データシステム系の間島 隆博系長が自動避航操船の計算アルゴリズムの開発等の研究の進捗について説明いたしました。各セッションとも研究発表終了後は多くの方から質問が寄せられ、 海技研の主力研究に対する関心の高さがうかがえました。
休憩時間には、講堂ロビーで基盤的な技術研究を紹介するポスター30本を展示したポスターセッションを実施、発表会に参加された方々に研究者らが直接、内容説明を行いました。
更に研究施設公開とミニトークを実施し、海底マッピングの技術を競う国際コンペティション「Ocean Discovery Xprize」で栄えある準優勝をおさめた、水中ロボティクスグループの稲葉研究員が、実際のチームでの活動や、決勝戦の様子を説明しました。また、水中機器整備棟の内部を公開し、研究所が所有する航行型AUV等を見て頂き、研究発表会に参加頂いた皆さまに研究の現場を肌で感じて頂くことが出来ました。
研究発表終了後には、所内にて参加者の皆様との技術交流会を開催、様々なご意見を伺うなど貴重な場となりました。