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お知らせ

令和2年5月20日

タグボートを使用した遠隔操船実船試験に参加

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長:安部昭則、本所:東京都三鷹市)は、国土交通省が目標と定める2025年までの自動運航船の実用化に向けた取組みの一環である、「操船支援機能と遠隔からの操船等を活用した船舶の実証事業」(注1)としてタグボートを使用した遠隔操船実船試験に参加しました。本事業は16社で構成される実施者により、2018度から3年計画で実施しており、海上技術安全研究所は、実証機器に対するリスク評価と実船試験結果の評価を担当しています。

遠隔操船実船試験の概要
東京湾上に位置する「有人遠隔操船システム」(注2)を搭載したタグボート(注3)を、約400km離れた兵庫県西宮市の陸上支援センターから遠隔で操船し、東京湾内の本牧沖と横須賀港沖間(約12km)を航行させました。
陸上支援センターでは、本船に搭載されたセンサやカメラにより周辺状況を把握し、航海計画と行動計画(避航航路計画)を作成しました。それらを本船と共有し、本船側の操船者による承認後、本船が提示された計画に従って自動で航行する状態を確認・評価しました。

その結果、陸上でのシミュレーションや試験だけでは得られないさまざまなデータを取得し、遠隔操船による船舶の運航を実現するための技術的課題を明らかにすることが出来ました。

本事業の今後の展開
今後は本試験で明らかになった船陸間通信における課題等を克服してシステムの改良を進め、今年度中に内航船での実証試験の開始を目指します。将来的には、大型船への技術展開へと進んでいく予定です。

(注1)自動運航船の実現に必要となる安全要件の策定などの環境整備を進めるため、2018年度から国土交通省が進めている実証事業。遠隔操船機能の実証事業の実施者として以下の会社が選定されている。 遠隔操船機能の実証事業の実施者(順不同) (株)MTI、(一財)日本海事協会、(国研)海上・港湾・航空技術研究所、(株)イコーズ、日本郵船(株)、京浜ドック(株)、三菱造船(株)、(株)IHI原動機、BEMAC(株)、スカパーJSAT(株)、東京計器(株)、日本電信電話(株)、(株)NTTドコモ、日本無線(株)、古野電気(株)、(株)日本海洋科学

(注2)乗組員支援のための「有人遠隔操船システム」のことで、船舶に搭載するセンサ等により周辺状況を把握して、当該情報を陸上に送信し、遠隔からの支援者はこの情報により見張り・操船の支援を行うシステム。

(注3) 株式会社新日本海洋社協力の下、同社が運航するタグボートを使用。