大気環境保全研究グループ(アーカイブ)

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研究グループの概要

 大気環境保全研究グループでは、環境対策に必要な船舶排ガス中の有害物質排出量の計測手法やその低減対策の研究に取り組んでいます。

 具体的には、船上NOxモニタリング手法や舶用ディーゼル機関の排ガスに適応可能な粒子状物質(Particulate Matter: PM)計測手法の確立の研究を通じて、船舶排ガス中の有害物質の排出削減や環境調和型舶用機関の実現に貢献することを目指しています。



船舶排ガス中のNOXモニタリング技術の確立への貢献

 MARPOL73/78条約附属書Ⅵの発効(2005年5月19日)により、船舶を対象としたNOX規制が2005年にスタートしました。NOX排出基準に適合したことを検証する方法の1つがモニタリング法です。この方法を実効的なものにするため、実船試験等を含む実証的調査結果に基づいたモニタリング手法の改善、あるいは実船環境で実証されたモニタリングシステムの構築が必要となりました。そこでジルコニア式NOX分析計による自動車運搬船での船上NOXモニタリング実船実験(横浜~シンガポール)を実施し、これにより得られたモニタリング手法の実証データを検討し、NOx濃度(酸素濃度13%換算)による簡便な代替手法をIMOへの提案文書案にまとめるなどの貢献を行っています。なお、ジルコニア式NOXセンサによる計測方法は、ISO 8178の改訂により規格に採り入れられました。

図:NOX排出率 [g/kWh]とNOX13 [ppm]の相関



船舶排ガス中のPM計測手法の確立への貢献

 国際的な船舶の排ガス規制(NOX)が2005年5月に始まりました。この規制の強化が検討されており、今後、船舶排ガス中の粒子状物質(PM)が規制対象になる可能性があります。そのため、実態がほとんど把握されていない舶用ディーゼル機関排ガス中のPMの計測手法の確立、排出特性の把握が必要となっています。

 このような背景から、舶用ディーゼル機関でPM計測を行い、PM排出量の計測誤差の定量化手法の検討、舶用PM計測システムが具備すべき技術要件についての検討を行い、1)舶用ディーゼル機関の排ガスに適用できるPM計測手法の確立、2)舶用ディーゼル機関のPM排出特性の把握、3)簡易的なPM計測手法の提案を目指しています。


図:PM発生原因と計測の概要



図:PM計測用排ガス希釈システムの概要



写真:供試ディーゼル機関の外観
(4ストローク3気筒、257kW-420rpm)



最近の研究課題

  • 舶用機関からの排ガス規制に対応するためのモニタリング技術の研究(2004-2006,重点研究)
  • 船舶排ガス中における粒子状物質の実態解明と計測手法の確率に関する研究(2007-2009, 公害防止等試験研究費)
  • 舶用動力プラントの予防保全に関する調査研究(2008,基盤研究)
  • マルチ燃料対応舶用機関制御に関する研究(2008-,JRTT受託)