RESEARCH ORGANIZATION
国際海事機関(IMO)において、船舶からの地球温暖化ガス(GHG)排出規制の強化について検討が行われています。船舶が実際に航行する実海域の推進性能を高精度で推定する技術、環境負荷を低減した船舶の設計・建造のための革新的な技術、実船モニタリングデータの活用による実運航での効率運航方法、先進的な水槽試験技術の研究開発に取り組んでいます。
実海域における船舶の性能(推進、操縦、耐航、復原性)の評価、向上を目指した研究を行い、海難事故の原因究明や船舶の国際的なルール作りの技術的バックアップを通じて、安全な船舶を造るために貢献しています。また、CFD(計算流体力学)技術において実海域性能の評価や省エネ装置まわりの乱流場の解析等の研究を行い、世界をリードする信頼性の高い船体周り流場解析用CFDソフトウエアを開発し、国内の造船所に提供するとともに、様々な支援を行っています。
船体構造の安全性評価手法の高度化を目指し、船体に作用する波浪荷重推定と構造応答・崩壊シミュレーションに関する研究、材料の腐食特性、疲労強度に関する研究を行っています。また上記の研究について水槽試験、構造崩壊試験、材料試験等の様々な実験も行っています。また、工数の大幅な削減を目的とした新しい生産システム、生産工程の合理化技術など、生産技術に関する研究に取り組んでいます。
海洋環境の保全を目的として、地球温暖化ガス(GHG)削減技術および安全・環境評価技術の高度化、ならびに、合理的な環境規制体系の実現の基礎となる、シミュレーション技術の高度化や、船舶からの環境負荷削減に資する各種技術の開発及び性能評価等に取り組んでいます。また、内航・外航海運のGHG削減目標達成に向け、省エネ化・GHG削減対策に資する普及・実用技術の研究もおこなっています。
総合シミュレーションシステムを用いた航海の安全性を高める研究や物流システムの高度化に関する研究などに取り組んでいます。
また、計測技術や様々なセンサー技術等の基盤技術の研究も行っています。
リスク解析、信頼性解析などの解析技術の高度化を通じて、費用対効果を考慮した国際基準の策定のための安全性評価、海上交通の安全性向上のための交通流制御とリスク評価に関する研究、放射性物質等の危険物輸送の安全確保の研究等を行っています。
海洋再生可能エネルギー・海洋資源開発の促進を目的として、洋上オペレーションや海底鉱物資源開発などを対象とした機器やシステムの運用技術の高度化、オペレーションの最適化や安全性評価技術に関する研究開発を実施しています。深海水槽、海洋構造物試験水槽、高圧タンク等、世界に類を見ない実験施設を利用した高度な水槽試験技術と数値シミュレーション技術を活用するとともに、実海域試験を通じたデータ計測及び解析技術によって、新たなニーズに対応した研究開発を進めています。
海洋先端技術系は、浮体式洋上風力発電、波力発電、海流発電等の海洋再生可能エネルギー利用に係る基盤技術の開発や施設・装置に関連した安全性評価手法の開発、さらに海中ロボットの研究・技術開発、海中ロボットを利用した観測・計測手法の開発等、海中作業の発展を促進させるための技術開発を進めています。
当センターでは、海難事故の再発防止対策の立案等への支援を行っていくことを目的に活動しています。
当センターでは、国際会議への参画や国際シンポジウム、ワークショップの開催などを積極的に進めています。
本PTは、海事産業のデジタルトランスフォーメーションを実現する上でのキーテクノロジーとなる船体のデジタルツイン技術、舶用主機のデジタルツイン技術、運航のデジタルツイン技術、船型設計に係わるデジタル基盤技術、船舶建造に係わるデジタル基盤技術の開発とその社会実装を進めています。
2023年7月に開催されたIMO第80回海洋環境保護委員会(MEPC80)では、新たなGHG削減戦略が採択されました。これにより、国際海運において、2050年までにGHG総排出量実質ゼロを目指すことになりました。本PTは、国際海運および内航海運のカーボンニュートラル達成に貢献することを目指し、船体抵抗低減技術や代替燃料利用技術と、その安全利用技術、さらに海上物流の需要予測に基づくGHG総排出量推定などの研究を進めています。
本PTは、自動運航船の安全性評価技術の確立、自動運航船の機能評価や安全性評価のための総合シミュレーションシステムの開発、自動離着桟技術の開発、マシンビジョンの調査検討を行うと共に、自動運航船を実現するための戦略とビジネスモデルを立案することで、成果の社会実装を進めています。
再エネ海洋利用法の施行により、洋上風力発電の普及に向けた環境が整ってきました。本PTは洋上風力発電を普及させるため、高風速海域の浮体式洋上風力発電のコンセプト提案を行うと共に、洋上風力発電のビジネスモデルを提案し、洋上風力発電ファームの建設促進を進めています。
海洋利用・開発に向けた次世代のモバイル・プラットフォームとして、AUV (Autonomous Underwater Vehicle)をはじめとする海洋無人機の活用が世界的に進んでいます。わが国でも、関連する研究開発を後押しするため、海洋無人機戦略を統括するAUV戦略プロジェクトチームが総合海洋政策本部参与会議内に設置されました。本PTは、こうした国の取り組みを現場レベルで支え、世界をリードする研究開発を展開することで、社会に貢献することを目指します。
日本国内における洋上風力発電などの再生可能エネルギーや海底鉱物、メタンハイドレートなどの海洋資源の開発において、今後SEPなどのDP(Dynamic Positioning)システムを搭載した船舶の活用が増加することが予想されます。そこで本室では、DPシステムの運用に関して、安全の確保および環境の保全や事故等の情報収集及び解析の実施、また、弊所に設置されているDPシミュレータを活用したDP船特有の緊急事態への対処等を含めた安全運用に貢献します。
我が国でも海事・海洋産業の競争力を強化するため、海事・海洋分野のオープンイノベーションを加速させることが求められています。海技研ではこれらのニーズに対応するためのプラットフォームとして“海技研クラウド”を運用しています。海技研クラウドでは、海技研がこれまで培ってきた海事分野の高度なシミュレーション技術や海技研の施設の実験データなどを、クラウド技術を活用した利便性・拡張性の高いソリューションとして産業界に提供しています。