水槽試験技術グループ研究紹介(その2)
水槽試験のための3Dプリンタ活用

  最近の船舶は性能向上のために、船体にダクトやフィン等を取り付ける場合があります。
このようなものを付加物と言います。


WADの画像


これらの付加物等は精密な寸法通りに製造する必要があります。また、取り付け位置も、精密にする必要があります。そのため、位置合わせを行う基準金具を特別に制作することがあります。

 しかし、近年の3Dプリンタは製造精度も良くなり、価格も安くなってきました。付加物の製造はもちろんのこと、位置合わせをするときに使用する治具や基準金具なども十分な精度で制作できるようになってきました。流体設計系では、3Dプリンターを使用して、水槽試験で用いる付加物や治具・基準金具等を製作しています。


3D造形物 3Dプリンタ製作例


 製作したもののいくつか(上図)を写真撮影しました。写真をご覧になってください。海技研では、主にダクト等の付加物、治具などの製作が多いです。舵の製作実績はありますが、スクリュープロペラの製作実績はまだありません。この他、3Dプリンターの部品自体の製作も行っています。


3DプリンタのCAD図面

上図は3Dプリンタで製造するためのCAD図面例です。3DCADのデータを読み込んで3Dプリンタ用のファイル形式に変換して、プリンタに転送します。


 このような付加物の改良は、少しずつ形を変えて試験を繰り返すことでより良い形にしていきます。
少しずつ形を変えた似たものを多種製造することは、3Dプリンターが得意とすることろです。船舶の性能向上に3Dプリンターは強力な道具となることがわかりました。今は、小さな寸法の物しか製作できませんが、近い将来には模型船本体の製作も可能になるでしょう。
弊所では今後も、3Dプリンターを上手に活用して安く早く船舶の性能試験が実施できるよう、目指してゆきます。