独立行政法人海上技術安全研究所(理事長 茂里一紘)では、舶用ディーゼルエンジンの 排ガス規制や燃費低減に対応するための研究開発に取り組んでいます。 その一環として、多様な燃料に対応できる燃焼技術の研究開発にも取り組んできており、 着火性の悪い燃料の燃焼改善に効果的なシステムとして、 従来の機械式燃料噴射装置に小型の電子制御式燃料噴射装置を組み合わせ、 主噴射の前後に補助的な燃料噴射(それぞれ、プレ噴射、アフター噴射と呼ぶ)を可能とする ハイブリッド・インジェクション・システム(HIS)*を開発しています。
3月23日にこのシステムを組み込んだ舶用4ストロークディーゼルエンジン (3気筒、最大出力257.4kW/420rpm)により、着火性の悪い 燃料(セタン指数30;分解軽油(LCO)-軽油混合油)を使った以下の実験をご覧いただきましたが、 ご要望が多かったため、4月25日に同公開実験を再度行う予定です。
1.プレ噴射による低負荷運転時のノッキングの解消
2.プレ噴射量及び噴射時期を変えた場合の燃焼状態の変化
3.プレ噴射による始動の円滑化
また、実験の前後において説明及びディスカッションを予定しています。
注)*ハイブリッド・インジェクション・システム(HIS)
追加した小型の電子制御式燃料噴射装置には、自動車用のコモンレールを活用。 従来のエンジンに安価かつ簡易に燃料噴射系を組み合わせることにより燃焼改善を図ることを 目的に海技研において開発中。着火性の改善の他、燃費低減、NOx低減の可能性がある。